社長が2年半出社しない会社が急成長する理由 「ライフシフト」「両利きの経営」に学ぶ人生戦略

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もともと弊社の売り上げは、東京の企業向けが100%でしたが、2020年9月には、東京以外の企業向け売り上げが65%に、実績においては直近の2020年10月で前年同期比で約400%伸びました。ここには新型コロナが大きく影響しています。

東京は人口1400万人に達しましたが、2020年6月に、コロナを契機として初めて東京の人口が減るという歴史的転換点を迎えました。都市経済学的には、全国の交通の便がよくなれば、ストロー効果によって人口は都市部に集まるものとされています。ところが、コロナによって、経済理論の予測上ありえないことが起きたわけです。これは僕らにとってチャンスだと捉えました。

また、僕がマレーシアに在住していることによって、かなり早い段階から、会社としてコロナへの危機感を持っていたことも功を奏しました。日本の人々が、まだマスクもせずに外で飲食していた初期の頃には、マレーシアはすでにロックダウンされており、マンションから一歩も出られないという厳しい制限が課されていました。

そこで、僕は2月には社内に「世界情勢が一気に悪化する、業績も落ちるぞ」という緊急アラートを出したのです。当時の東京のメンバーはまだ楽観的でしたが、かなり強く「それではダメだ」と伝え、陣頭指揮をとりました。

現在も、年末に向けて気を抜けない状況です。マレーシアは、コロナ禍において政府からの助成金は微々たるものでほぼゼロでした。それに引き換え、日本は2020年のGDPが7%前後マイナス(ある証券会社の予測)という現象に対して、各種助成金や融資、それに「GOTOキャンペーン」と言って年間GDPの20%にもあたるカネを投入しています。これは、バブルです。いまの日本はバブルに乗って踊っているだけにしか見えません。

今はこの状態を警戒するよう社内では話しています。現状よりもちょっとだけ早く危機感を持つように意識する。それができるのは、僕が海外から日本を見ているからだと思います。

池見流「両利きの経営」

代表取締役である僕が、マレーシアに移住して海外から指揮をとるということに関しては、『両利きの経営』(チャールズ・オライリー/マイケル・L・タッシュマン著)という話題の経営書から学んだ部分があります。

この本は、既存事業の深化だけでなく、新規事業の探索を同時に追求することで、大きな会社に典型的な、イノベーションのジレンマをどう乗り越えるかを説いています。しかし、弊社のような100人規模の会社においては、まずは代表者が、誰よりもいちばん情報を持ち、未来を予測するという業務を担い、そして、未来のために動くことが効率がいいと考えています。

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