米銀大手シティグループ、「黒字体質」への転換は本物か
その金融機関のCEOの楽観コメントだけに、米国経済の本格的回復への期待感にもつながり、株価を押し上げた。この日、シティの株価は4.18ドルへ5.6%上昇(翌、12日は利食い売りで終値3.97ドル)。ニューヨークダウは昼過ぎまで軟調に推移していたが、このコメントを受けて引けにかけ上昇、44ドル高で引けた。幅広い銘柄を対象としたS&P500株価指数は08年10月1日以来、17カ月ぶりの高値を付けた。
パンディットCEOは3月4日にも、公的資金注入を受けた金融機関の代表として米下院議会で証言を行い、同様に経営健全化を強調している。
しかし、こうした楽観コメントはどこまで信頼性があるのだろうか。
事業分割で非中核事業を圧縮し、健全化が進展
1年前に営業黒字化を宣言したときは、「負債の時価評価による利益計上」など利益の質に対する懸念もあり、疑心暗鬼の市場関係者が多かった。実際、09年の第1四半期は最終黒字だったが、第2四半期は株式売却益を除けば最終赤字。第3四半期はほぼトントン、第4四半期は再び最終赤字と、本格回復とは言いがたい状況が続いている。
ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど他の金融機関と比較しても、出遅れ感が目立つ。シティの株価も、昨年秋に付けた5ドルをピークに低迷し、今年年初からは3ドル台で取引されていた。
(出所)シティグループ公表資料
今回の説明会の中でパンディット氏はまず、過去2年間の健全化、スリム化進展を強調した。自己資本のTier1比率は08年第1四半期の7.7%から09年第4四半期の11.7%へ上昇。同期間に貸倒引当金比率は2.31%から6.09%へ上昇。総資産は2.20兆ドルから1.86兆ドルへ圧縮。経費も154億ドルから123億ドルへ削減した。