米銀大手シティグループ、「黒字体質」への転換は本物か
シティグループは公的資金投入後のリストラによって、コア(中核)事業を行うシティコープと、ノンコア(非中核)事業のシティホールディングス(以下、シティHD)の2部門に事業分割された。「グッドバンク」「バッドバンク」方式による分割に似ており、シティHDのほうは将来的に売却や資産圧縮で処分・撤退していく対象となる。
シティHDは09年末の総資産が5470億ドルで、北米での住宅ローンや自動車ローン、学生ローンなどの一部消費者向け金融事業や、証券の合弁事業であるモルガンスタンレー・スミスバーニー、生保事業のプライメリカ、そして「スペシャル・アセット・プール(SAP)」と呼ぶ特別なリスク資産から構成される。
SAPには、別働隊として特別目的会社の形態で投資を行ってきたSIV(Structured Investment Vehicle)の資産や流動性の低い各種証券、モノライン(金融保証専門会社)関連資産などが含まれ、総額は1540億ドルある。
パンディットCEOは、シティHDの資産は08年第1四半期の8980億ドルから5470億ドルへ大幅に圧縮されたと強調。この中には、日本での日興コーディアル証券の売却なども含まれる。そして、一部消費者向け金融事業については、まだ赤字が続くものの、与信費用は09年後半から減少傾向にあると説明。SAPについては、07年第3四半期以降、大幅なマークダウン(減損処理)を行ってきた結果、「ほぼ赤字がなくなってきた」と、健全化の進展をアピールした。
収益・預金の5割弱を新興国が占める
一方、コア事業のシティコープは、09年末の総資産は1兆0800億ドル。事業の柱は、(1)キャッシュマネジメント(グローバル企業の資金管理)やカストディ(有価証券管理)などのトランザクションサービス事業、(2)国際的な法人向け銀行・証券事業、(3)クレジットカードを含む国際的なリテール銀行事業、の3つだ。
パンディットCEOは、「シティは世界140カ国以上で営業しており、比類なきグローバルネットワークを持つ。新興国での実績を重ね、高成長を享受する好ポジションにある」と訴えた。