米銀大手シティグループ、「黒字体質」への転換は本物か
ヴィクラム・パンディット・シティグループCEOが投資家向け説明会で「黒字体質」への転換に向けた自信を披露。「シティは2年前とは根本的に違う会社になった」と言うが、“変身”は果たして本当なのか。サブプライム金融危機で最も深手を負い、国家救済された巨大金融機関の経営実態を点検する。
再び株高の立役者となったシティCEOの“変身”発言
今から1年前の2009年3月10日。ニューヨークダウ平均は前日に記録した12年ぶりの安値6547ドルから、379ドルの急騰を見せた。結局、この6547ドルという安値がリーマンショック後の大底となり、ここを起点に世界的な反騰相場が始まった。
そのきっかけとなったのは、米銀大手シティグループCEO、ヴィクラム・パンディット氏の社員宛の書簡だった。この中で同氏は、「09年1~2月は営業黒字を確保した。07年夏以降で最高の実績」と述べた。これが株式市場に伝わると、金融危機の最悪期は脱したとの期待感が高まり、鳴りを潜めていた投資マネーが株式市場へ殺到したのだった。
あれからちょうど1年後の3月11日。再びパンディットCEOが株高の立役者となった。ニューヨーク時間の当日正午過ぎ、投資家向けカンファレンス(説明会)で壇上に立った同氏は、スライドを用いながらシティグループの経営健全化をアピール。
「シティは2年前とは根本的に違う会社(fundamentally different company)へ生まれ変わった。われわれは持続的に利益を上げられる体質(sustained profitability)へ戻っていける良好な態勢にある」と語った。
シティグループといえば、今回の金融危機で最も打撃の大きかった大手金融機関の一つだ。450億ドルもの公的資金注入(うち200億ドルは増資で返済済み)で救済され、今でも米国政府が全株式の27%を保有している。