モナカジャンボが寒くても売れ行き落ちない訳 真夏にチョコも売れ、消費鉄則が崩れてきた

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一方、後者は「余計なモノはなくて純粋に味を楽しみたい」という人。バニラならバニラ、チョコならチョコを楽しみたい派だ。ただし、両者は固執するのではなく、時にはその日の気分で「上乗せ⇔そのまま」が変わる(ことが多い)。

また、時代とともに「消費者は変化する」のはその通りだが、一方で「人間の本質はそんなに変わらない」とも思う。

特にアイスの好みは保守的で、好きなフレーバーの順位はいつの時代も「バニラが首位」。ブランド全体では№1の「エッセルスーパーカップ」(明治)は、同ブランドの2位フレーバーを大きく引き離し「超バニラ」が売れるという。

家庭用アイスの上位ブランドはロングセラーがほとんどだ。各人気ブランドを、子ども時代から親しんできた中高年や若手世代がそれぞれ楽しむ――という構図が続く。その構図を崩してきたのが、全国発売して8年の「バニラモナカジャンボ」だ。

2020年秋冬向けの限定パッケージ(写真:森永製菓)

「モナカのアイス」に手が伸びる理由

「なぜ、ヒトは『モナカのアイス』が食べたくなるのでしょうか」

取材の途中で、あえて森永製菓に聞いてみた。

「消費者の方からは『食べやすいじゃない』という声も多いですね。開けてかじるだけ。手も汚れにくい。割って食べられるので、最初に食べたい分だけ割って、残りは冷凍庫にしまっておける。カップアイスではできない利便性だと思います」(村田さん)

手が汚れにくいのは、“ながら食べ”派には便利だ。特に、現在のながら食べは「スマホをいじりながら」が多い。

あくまで仮説だが、日本の消費者がモナカを好むのは、和菓子の最中(もなか)になじんだDNA(遺伝子)もあるのではないか。

日本のアイスクリーム発祥地は、明治初めの横浜だと聞く。この時、ウエハースの代わりに最中が使われたという説もある。江戸時代から和菓子の最中になじんでいたので自然に受け入れられたのかもしれない。

「コロナ収入減」とも言われる世知辛い時代。消費に対する目はますます厳しくなるだろう。手軽な癒しや気分転換として一般のスイーツよりも割安感があり、冷凍庫での保存がきくアイスの優位性は高まりそうだ。

かつて「成熟市場でもできることがある」という言葉を聞き、時に思い返しながら企画や取材をしてきた。成熟商品のアイスが「巣ごもりの冬」に何が支持されるのか注視したい。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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