モナカジャンボが寒くても売れ行き落ちない訳 真夏にチョコも売れ、消費鉄則が崩れてきた

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「アイス消費量」が多い石川県金沢市(写真左)と七尾市のアイス売り場(2019年11月、筆者撮影)

アイスの嗜好は人それぞれだが、一般的な傾向として、冬のアイスは濃厚な味が好まれる。逆に、夏はさっぱり系が人気だ。だが最近は、そうした消費鉄則が崩れてきた。消費者の変化として合わせて紹介しよう。

「モナカアイスだけでなく、この夏は『板チョコアイス』が8月でも売れました。ベルギー産チョコレートを用いてバニラアイスをはさんだ、パキッと割って食べるアイスです。秋冬の期間限定だったのを通年販売にしたのですが、予想を上回る売れ行きでした」(同)

「夏もチョコが食べたい」という消費者の声に応えたという。その取り組みが突き刺さり、ツイッターで「板チョコアイス発売されている……うれしすぎる……」の書き込みもあった。

「板チョコアイス」は盛夏でも売れた(写真:森永製菓)

実は、以前の取材時に「好調」と聞いたので、この夏は何度か板チョコアイスを買い、関係者と試食した。取扱店も増え、都内の大手ドラッグストアでは常備されるようになった。

「いくつかの店舗でテストマーケティングを行い、好評だったので通年販売に踏み切った」と聞くが、社内でも議論があったという。

長年、企業やブランドを取材するので、ヒット商品の裏の「抵抗感」はよく耳にしてきた。10年以上前、ウイスキー復活となった「ハイボール」訴求では、それまでおいしいとされた黄金比率(濃さ)を薄めることへの抵抗があった。別の家庭品メーカーでは、簡易な掃除道具を発売する時に「当社が道具に手を出すと成功しない」という反対意見も聞いた。

常に「新たな挑戦」が正しいわけではないが、向き合う相手は「現在の消費者」なのだ。

「上乗せ」派と「そのまま」派

モナカアイスの話に戻ろう。今のところ「チョコモナカ」と「バニラモナカ」はうまくすみ分けができている。その理由を、「上乗せ」派と「そのまま」派の視点で考えたい。

消費者に「好きなアイス」を聞くと、この2タイプにも分かれる。前者には外側をチョコで包んだ競合品もあり、バニラアイスにチョコをはさんだ「チョコモナカ」も上乗せとして楽しめる。「同じ代金なら少しトクした気分」ともいえよう。

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