副作用のリスクでも高齢夫婦が治験を受けた訳 製薬メーカーは急ピッチで供給体制を整える

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田中さんが最初に指定クリニックを訪れた際に、B社のワクチンの治験であることや、副作用の可能性と補償制度、被験者の意志で自由に治験を中断できることを説明された。

渡された資料には「18歳から55歳の健康な被験者」と「健康な高齢者」が同数治験に参加すると書いていたが、田中さんによると「通院で一緒になったのは中年男性の被験者が多く、私はかなり高齢のほうだった」という。

B社のコロナワクチンは別のウイルスに新型コロナの遺伝子物質を搭載して投与し、免疫反応を促す仕組みだ。

被験者は秋に入ってから接種を受け、その後1週間はスマートフォンのアプリから健康状態を報告する。さらにおおむね週に一度のペースで通院し、抗体検査、血圧・体温測定とともに医師の診察を受ける。

承認されるまでどちらを受けたかわからない

その後2度目の接種を受け、同じようにアプリから健康状態を報告したり、通院する。秋の間に10回通院し、2021年の春と秋に再度診察を受け、トータル約1年、計12回の通院で治験が終了するとのことだった。通院1回ごとに1万円の負担軽減費が支払われる。

治験コーディネーターからは、ウイルスへの免疫を確実につけるため2回接種すると説明された。田中さんが最初の通院で知ったのは、ワクチンの安全性などを検証するため、被験者のうち75%が臨床試験中のコロナワクチンを、残り25%はプラセボ(生理食塩水)を接種されることだった。被験者は無作為に2つのグループに分けられ、ワクチンが承認されるまでどちらが接種されたか知ることはできないという。

その日、田中さんは健康診断とPCR検査・抗体検査を受けた。PCR検査は唾液を20cc採取する方式で、「なかなか出なくて5分ほどかかった」という。田中さん夫婦は後日、PCR検査は陰性で抗体も持っていないとの連絡を受け、秋に入ってから1回目の接種を受けた。

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