関口宏「歴史を辿らねば今の自分もわからない」 あるようでなかった近現代史番組の作り方

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――実際に番組を見ると、派手な演出はなく、関口さんと保阪さんとが1時間じっくりと話していく構成が新鮮でした。

関口:こういう番組は、BSだからこそできたのだと思います。地上波はどうしても分刻みで構成を考えていきますから、1時間じっくり話を聞くような番組はなかなか作れません。その点、BSはまだ落ち着いて話せる雰囲気があるんです。どちらがいい悪いではないけれど、じっくり話を展開するような番組を作れる雰囲気は、この先も残ってほしいですね。

スタッフも決して多くはないし、歴史のプロはいません。でも、わずか1年でもみんなどんどん歴史に詳しくなっていくんですよ。いまでは本当に頼もしい伴走者になってくれています。

リモートの打ち合わせだと、どうしてもこぼれ落ちてしまう

――この1年ということでは、コロナ禍もまだ続いています。

関口:緊急事態宣言の時期は大変でした。収録ができないので、それまでの放送からテーマ別に再編集した内容でなんとかしのぎました。緊急事態宣言が終わり、ようやく再開することができましたが、打ち合わせはいまでもリモートです。そうすると、どうしてもこぼれ落ちてしまうものがあるんですね。

言葉で言い表すのは難しいんですが、今までは顔を突き合わせて、三密で打ち合わせをしながら、番組を練り上げてきました。ちょっとした雑談や歓談がチームワークを作っていく部分があるのですが、それができないのは本当に残念です。

――番組は、いよいよ昭和期に突入しています。

関口:周囲からは、昭和に入ってますます面白くなってきたという感想ももらっています。昭和は波乱の連続です。大正までは、だいたい1回の番組で1年なり2年を扱えたんですが、昭和恐慌や浜口雄幸首相狙撃事件などが起こった昭和5年は2回分を使いました。終戦までどのくらいかかるか、いまの段階では見当もつきません。

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