日本企業でDXをうまく進められない本当の理由 デジタル組織には「GAFAな働き方」が必要不可欠
先に「……最適な仕事のやり方を探すこと」がDXの本質になる、と述べた。当然、目指すビジネスモデルによって最適な仕事のやり方は異なるのだから、企業が試行錯誤しながら最適解を探し出す必要がある。
なぜ「GAFAな働き方」がDXに必要なのか
探すうえで大いに参考にすべき企業がある。デジタル技術をテコにして、新しいビジネスモデルを構築し、成功している企業だ。その代表が、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)である。そもそもDXに積極的に取り組みたい企業は、グーグルやアマゾンのような成功や強さを手に入れたいと考えているはずだから、当然と言えば当然だろう。参考にすべきは「GAFAな働き方」なのである。
アマゾンを例にしてみよう。アマゾンにはOLP(Our Leadership Principles)という14の項目からなる行動規範がある。役職にこだわらず全員がリーダーであるという考え方のもと、社員一人ひとりが日々の活動においてこのOLPにしたがって、行動するように呼びかけている。そして、OLPは行動規範であると同時に、アマゾンという企業の文化をつくっている。
筆者はAWS(アマゾンウェブサービス)に在籍し、日本マーケット向けのコンサルティングチームを率いて、クラウド活用の啓発とチームの売り上げをアップさせるミッションを行っていた。その経験から言えば、OLPの14項目の中で1番に掲げられているCustomer Obsessionを最も重視している。あえて訳せば「お客様への執念」ということになるだろうか。アマゾンのウェブサイトから、Customer Obsessionの項目をそのまま引用しよう。
リーダーはお客様を起点に考え行動します。お客様から信頼を獲得し、維持していくために全力を尽くします。リーダーは競合にも注意は払いますが、何よりもお客様を中心に考えることにこだわります。
行動規範にしたがって、自社のサービス・取引を通じて引き出した顧客ニーズの最大公約数を発見し、すぐさまビジネスにしていく。ライバルの追随を許さないのである。
ビジネスやサービスのつくり方にも特徴がある。例えば、アマゾンではないウェブサイトで買い物をすると、支払時のみアマゾンのサイトにジャンプするような仕組みがある。もともとは自社のECサイトのためにアマゾンが開発した「認証」「カート」といった機能を、サービスとして他社に提供しているのである。このように必要な機能だけを切り出してサービスとして提供することをマイクロサービスと呼ぶ。
マイクロサービスのメリットの1つに、システムのアップデートが加わってもほかの機能(サービス)に影響を与えないということがある。そして、機能の連携方法が決まっている。これの意味することは、サービスを開発・運用するチームもマイクロにわかれていて、チーム間の連携方法も決まっているのである。
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