『論点思考』を書いた内田和成氏(早稲田大学大学院商学研究科・ビジネススクール教授)に聞く--視点、視座、視野を変え、問題の設定力を養う
ソリューションに取り組むのがビジネス界で当たり前になっている。が、そもそも間違った課題、不要な問題に答えようとしていたら--。問題解決には「正しい答え」より、まず「正しい問い」こそ重要だという。
--問題解決の本は多くありますが、問題設定に絞ったものは珍しいですね。
タイトルの「論点」とは「解くべき問題」のこと。最初に解くべき問題や、その問題の優先順位付けを間違えれば、意味のある結果は生まれず、膨大なムダになる。論点設定こそいちばん大事。しかも、ややこしいことに、解くべき問題の内容は時間とともに動く。また同じ問題に見えても人によって中身が違う。それだけ、誰の問題として解くのかが同時に大きな課題になる。
--前著に『仮説思考』がありました。
基本的に仮説思考は問題解決が中心になる。問題を解くために、いたずらにいろいろな分析をしたり次々に情報収集したりすると、ものすごく手間がかかるし、かえって効率で後れを取ってしまう。最初からこれが答えではないかと決めつけて、その答えを検証する形で情報を集め、作業すると効率がよいというのが、そのエッセンスだった。
ところが、実際のビジネスの世界では、若いうちはみな上司からこれを解け、この課題をやれと与えられる。ポジジョンが上がってくると、課題は自分で見つけなければいけない。とりわけ経営者には誰も課題を教えてくれるわけではない。論点は問題解決の流れの最上流にある。