『論点思考』を書いた内田和成氏(早稲田大学大学院商学研究科・ビジネススクール教授)に聞く--視点、視座、視野を変え、問題の設定力を養う

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--問題は人によって違う、とは。

卑近なたとえだが、妻と話をしていてよく失敗する。いろいろ言われるので、ついそれに対して答えを言ってしまう。私なりに問題を解いたつもり。ところが、彼女は別に問題を解いてもらいたいわけではなくて、話を聞いてもらいだけ。だから、うなずくことが実は問題解決なのに、ついついアドバイスしたりして、かえって彼女としては不満が高まる。

--この本でも、例え話が豊富ですが、会社では。

上司と部下の関係でも似たようなことがあって、上司が解決したい問題はこちらが解こうとしている問題と違うことがある。ではいったい上司はどういう問題を解きたいのか。何を解決したいのかを理解して、それに沿ってアプローチしないとならない。自分の理解で勝手に解いても独りよがりになりがちで、これではしょうがない。

--2人の部長の例が載っています。

若いうちは、上司からこれが解決すべき問題だと言われると、ほとんど盲目的に取り組むことになるが、それで、組織としてうまくいったり、業績が上がるかというと必ずしもそうではない。この上司はこの問題をなぜ解きたいのか、根っこの部分まで考えないといけない。

たとえば部長が二人いて、同じように組織を活性化したいと言っているとする。片方の部長は本当に組織を活性化して、みんなが働きやすい会社にしようと思っている。もう1人の部長は、実はとにかく自分が出世したい。そのためには部の業績が上がらなければいけないから、方法は何でもいい、やる気を出して成果を上げてもらう、そのための活性化だった。二つのケースは解が全然違う。

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