「最強のカニ決めるゲーム」の世にも奇妙な魅力 カニがリボルバーやショットガンをぶっ放す

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もしステゴロになってしまったら、慌てずスタミナ回復を待ってから反撃ののろしを上げる。落ちている武器を拾って、相手が自分の間合いに入り込んだら、えぐりこむように打つべし、打つべし、打つべし。このくらいのことを一気にできるようになれば、キャンペーンの難易度ノーマルクリアは決して難しくない。

バカゲーっぽい印象をまといながら、実は細かなテクニックが必要で、プレーするごとに少しずつ自分の成長を実感できる。『カニノケンカ』はそんな良ゲーである。

今後に期待したい

だが、いかんせんまだ世間にはあまり知られていない。対戦格闘ゲームはやはり対人戦を楽しめてこそである。

かつて『ストリートファイター2』が一世を風靡していた頃、ゲーム業界には2匹目のドジョウを狙えとばかりに、大量の類似ゲームが生み出された。そしてその大半は知られることなく、ひっそりと消えた。そうした二番煎じのゲームの場合、いくら良作でもプレーヤー人口が少ないため、魅力が広まる前に廃れていく運命にあった。

今のゲーム業界でも、やはりニッチなゲームはすぐに消えてしまう。だが、当時と今では違うことが1つある。それはインターネットを介して、通信対戦を行うことができるという点だ。

もしコアなゲームファンが『カニノケンカ』をプレーし続ければ、その面白さや奥深さは少しずつ広まっていくかもしれない。これから続編が発売されたり、『カニノケンカ』ブームが来た際には「ああ、『カニノケンカ』はかなり前からプレイしているよ」なんて言えるようになってほしいと思わされる、妙に印象的なゲームであった。

赤木 智弘 フリーライター

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あかぎ ともひろ / Tomohiro Akagi

1975年栃木県生まれ。2007年にフリーターとして働きながら『論座』に「『丸山眞男』をひっぱたきたい――31歳、フリーター。希望は、戦争。」を執筆し、話題を呼ぶ。以後、貧困問題などをテーマに執筆。主な著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』などがある。

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