「天声人語の書き写し」が読解力向上に不要な訳 これほど要約しづらい文章も珍しい
リモートワークが普及し、対人のコミュニケーションが激減した一方、メールやウェブ会議など、文章やオンラインによるやりとりの重要性が高まっている。そこで、これまで以上に必要となるのが「読解力」だ。あらゆる文章を速く正確に読み解くコツを解説した樋口裕一氏の新刊『すばやく鍛える読解力』より、第3回となる今回は、朝日新聞の「天声人語」を基に読解力の鍛え方を解説する。
中学・高校の先生たちに信奉者が多い
朝日新聞のコラム「天声人語」も癖のある文章だ。天声人語に限らず、新聞の第一面のコラムはいずれも癖があるが、やはり天声人語はその中でもとびきりだろう。
新聞のコラム、とりわけ朝日新聞の天声人語を名文とみなしている人がいるのは私も承知している。中学、高校の先生たちには信奉者が多く、これを模範として書き写しをさせたり、要約をさせたりといった指導がなされている。
もちろん、天声人語を読むのはとても良いことだと思う。ぜひ読んでほしい。楽しみにしてほしい。しかし、これは論理的な文章とは言いがたい。しばしば論理がねじれ、意味がとりづらい。これを模範として書き写したり要約したりするのも、ほとんど意味がないと私は思っている。そもそも、これほど要約しづらい文章も珍しい。
インターネット上でも、天声人語の内容のゆがみや文章のわかりにくさが話題になることがある。以下の文章がその例として、あるブログに挙げられている。
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