ダイヤモンド社に集う「大リーガー編集者」 特別対談 ベストセラーを生むための編集と営業(下)
カリスマ依存ではない編集部
佐々木:和田さんは第三編集部の編集長ですが、商品の構成バランスはどういうふうに考えていますか。
和田:爆発的には売れないかもしれませんが、硬派な良書や専門書も出しているからこそ、『伝え方が9割』のような読みやすく手に取りやすい一般書も市場で信頼を得られるのだと思います。だからダイヤモンド社ブランドにおいては両方とも大事だと考えます。
そのあたりは、編集も営業も同意見ですね。売り上げはもちろんすごく重要ですが「ダイヤモンドブランドに寄与するかどうか」も同様に重要です。じゃあダイヤモンドブランドとは具体的に何かというと、読者であるビジネスパーソンの仕事なり人生なりをよりよくするためのコンテンツ、ということだと思います。
佐々木:編集者30人というお話でしたが、人材の流動性は激しいですか。
和田:それほど激しくはないですね。中途採用のメンバーはけっこう多いですが、いったん書籍編集者になると長く所属する人が多いです。
ほかの出版社で実績を出して移ってきた人たちだけがヒットを出しているわけではなく、内部異動で一から書籍編集を身に付け、ベストセラーを出している編集者もいる点も弊社の強みかなと思います。つまり、人材に多様性があるということです。
ここ1年で売れている本をたくさん並べていますが、これらを眺めただけでも、独りのヒットメーカーだけでは、ここまでバリエーションに富んだアイデアは出ないと思います。独りのカリスマが支えている組織では、いい意味でも悪い意味でも特定のカラーが支配するような気がします。
一方、弊社の場合は、編集者それぞれのカラーでヒットが出ているので、並べたときにあまり統一感がないような気がします。そこは魅力でもありますね。
佐々木:30人の編集者のうち、男女比率はどんな感じですか。
和田:6対4くらいで、男性が少し多いですね。年代も50代から20代とバラバラです。
井上:女性の管理職もどんどん増えていますよ。ただ、新卒を3人採用して2人辞退ということがありました。
佐々木:こんなに業績が好調なのに。