経営者も研究手法を身につけるべき
たとえどんなに優秀でも、手法を知らなくてはすぐには何もできないのは全ての分野に共通です。この二つの事例では、2人が持っていた経営学の知識が直接的に役立ったかどうかどうかはわかりません。しかし少なくとも、経営学の研究手法は役に立っていることがわかります。
ビジネスを取り巻く環境はとても複雑です。外部環境は目まぐるしく変化します。過去の事例をどれほど集めたとしても、それがそのまま現在抱えている問題の解決策として当てはまるということは、まずないでしょう。ビジネス上の問題は、過去の問題解決パターンを覚えてそれらを組み合わせれば答えの出る練習問題、応用問題ではありません。そのほとんどが、解が存在するのかどうかもわからない未知の問題、すなわち研究課題なのです。
フェファーとサットンは、前出の『事実に基づいた経営』の中で、ドラッカーが晩年、なぜ経営者は間違ったアドバイスにだまされ、正しい事実を使わないのかと聞かれたときに答えた言葉を紹介しています。
「考えることは大変な仕事だ。流行を取り入れれば、考えなくても済む」
そう、経営者、意思決定者はまさに自ら考え、決断するための論理を自ら創らなければならないのです。すなわち経営者、意思決定者こそ、研究能力を持つ必要があるのです。
しかし残念ながら、この点で日本企業には大きな課題が残されています。
最終回となる次回では、その点を指摘していきます。
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