「ビバリーヒルズにトランプ支持者が集結してる。老若男女、あらゆる人種がいる。とにかくすごいことになってる」。トランプ支持者の情報源からそんな電話があり、10月24日の土曜日午後3時に行ってみた。
ビバリーヒルズと言えば、ご存じ「ロデオドライブ」で世界的に有名な高級ショッピング街だ。集結と言っても、せいぜい十数人のトランプ支持者がいるのだろうと想像しつつ現地に着くと、とんでもない光景に度肝を抜かれた。サンタモニカ大通りの沿道に大漁旗のような「TRUMP」と描かれた青い旗が数百枚はためいている。少なく見積もっても1000人以上のトランプ支持者が道を埋め尽くしていた。
支持者は白人男性だけではない
「あと4年!あと4年!」
「USA! USA!」
大きな声がうねりとなって交差点に響き、通行する車がひっきりなしに“応援”のクラクションを鳴らす。トランプ旗と「アメリカ・ファースト」サインを大型トラックにつけて走る男女や、巨大なトランプ旗で身体を包んで歩く若者など、まるで7月4日の独立記念日のパレードのようなお祭り騒ぎだ。
民主党の牙城のはずのカリフォルニア州ロサンゼルスに、これだけ多数のトランプ支持者が存在していることに驚愕する。目を見張ったのは、彼らの多様性の豊かさだ。トランプ支持者は中高年の白人男性ーーそんな定説を打ち崩す光景がそこにあった。
「ベトナム系アメリカ人たちよ、トランプに投票しよう」という旗がついた小型飛行機が上空を飛ぶ。その下の沿道にはLGBTQの象徴である「レインボー旗」が多数くくりつけられたブースがある。メキシコ国旗を持って闊歩する褐色の肌の若者がいる。その横を「看護師は警察官の味方。トランプはまだ私の大統領」という文字が描かれたSUVを運転して手を振る白人女性。
「トランプを支持するサーファーたち」と書かれたサインを持つ男性の横を「Women for Trump」のロゴ入りのピンクのTシャツを着た女性が犬を連れて歩く。サルサ音楽が流れ、踊り出さんばかりにノリノリの人々。
有名な「ビバリーヒルズ」サインの前は、白人、黒人、ヒスパニック系、アジア系、老人、子供、中年、若者など、あらゆる人種、年齢の人々が集まり、ごったがえしている。
「こんなの、見たことない」。ルイ・ヴィトンの買い物袋を持った女性がスマホでこの光景を写真に撮り、観光客を乗せた赤い屋根なしの観光バスがトランプ支持者の海の中を走る。
これだけクレイジーな光景なのにテレビ局の取材班はまったくいない。
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