アニメをうまく描く人になる、たった1つのコツ プロは人から答えを教えてもらうものじゃない
付け加えると、アニメーターの収入は「出来高制」になっていることが多く、その場合は絵を描いた枚数が報酬に直結する。しかし1枚1枚に設定されている金額はそれほど多くない。ある程度の収入を得るためには一定以上のクオリティを保ちながら、とにかく早く、多くの枚数を描く必要があるのが現状だ。
そうしてさまざまな作品でうまい絵に触れ、何度もなぞっていくことで必然的に、うまい絵を早く描く技術を身につけていく。その繰り返しが新人アニメーターたちの質を向上させ、凄腕と呼ばれる原画マン、さらにはその上のポジションも務められるほどに成長する。同時にアニメそのもののクオリティも高まっていくというわけだ。
「うまい人から技術を盗み、糧とする」
また、「正解を教えてくれる人から答えをもらう」のではなく、「うまい人が描いた絵から技術を盗み、糧とする」ことが爆発的な成長力を生んでいる側面もある。
現在アニメ業界は、アニメ戦国時代真っただ中にあると言えるような状況。3カ月ごとに放送・配信されるテレビアニメは毎クール50本前後。昔から続く子ども向けアニメや教育アニメ、番組内アニメなども多々あり、ヒットしてシリーズが続いていくアニメはごく僅か。全てのアニメを見られる視聴者はほぼ全くおらず、視聴時間も限られ、取捨選択をする必要がある。
そんな時代だからこそ、真っ先に注目されるのはやはり冒頭でタイトルを挙げたような「作画が綺麗」なアニメであることが多くなった。だからこそ、早く、上手く、どんな絵でも描ける腕利きのアニメーターはどれだけいても困らない。「トレス」で技術を培い、数年後には超一流のプロアニメーターとしてそのヒット作に名を連ねる凄腕のアニメーターは増え続けるはずだ。
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