社内政治にうんざり。転職を考えています 【キャリア相談 Vol.32】

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さて、今回はプロフェッショナルファームにいる20代後半の方から、ファームからフェアな評価をされていない中、今後はどうやって暮らしていけば良いかという質問にお答えさせていただきます。

最初に申し上げますと、ビジネスプロフェッショナルにとって20代後半は極めて重要です。だいたい28歳~32歳の過ごし方でプロフェッショナルとして次の段階にいけるかが決まってくると言っても過言ではありません。この時期の仕事への姿勢と経験が将来、大きな人物になれるかに効いてきます。ちなみに筆者の20代後半は怖い人や、変な人の対応で忙しかったです。すごく怖い目にあっては、「うわあ、ほっこりする」と言って現実逃避していました。

「他人にどう思われてもいいや」と思えるか

質問者の方は、ご自分がフェアに評価されていない理由について社内政治の存在をあげられていますので、少しお話ししますと、当然ながら社内政治なるものがなくなることはどこに行こうがありません。人間が3人集まれば派閥はできるものですし、コンサルティングにおける最大の秘密ですが、究極的には全ての問題は人間から発生しているものです。世の中に他者さえいなければ人間の「恥ずかしさ」は大幅にディスカウントされることでしょう。

同時に人間にとって他者は究極的には関係がない存在なので、自分が思っているほど、他人はあなたのことについて深く考えているわけではありませんし、そんな中で人の評価ばかり気にするのも無駄です。人はどの段階で「他人にどう思われてもいいや」と思えるかでその後の人生が変わってきます。小学校高学年くらいでそう思った人は強いものです。

とは言いつつ誰もがモウリーニョになれるわけではなく、ビジネスプロフェッショナルとして他者の動きを観察することは重要です。人間に対する感受性が無いと、精緻な戦略は立案できませんし、「もし世界が真空だったら」というような非現実的なモデルや戦略をつくり、自分の戦略がうまくいかないのは合理的でない人間が悪い、と人工知能のようなことを言うようになります。

不遇のときこそ、古典や名著を

質問者の方は、社内政治や人間関係で苦労し傷ついているかと思いますが、正当な評価を受けない不遇な時こそ自分の「器」を成長させるまたとない機会です。イケイケの時や平常時には人のアドバイスも頭に入らないものですが、傷ついた時は、骨身に沁みて色々なことを感じることができるようになります。こんな時は古典や名著が頭ではなく心に沁み入りやすいものです。

古来、人の問題は枚挙にいとまがないので、事を成した偉人でさえ不遇な時もありますし、自分が不遇な時は古き偉人達と対話ができるものです。あのマキャベリでさえ生前には評価されずに、不遇の時に古(いにしえ)の偉人達と(想像の中で)対話することによって、戦略の元祖とも言える偉大な著作を残したようです。

質問者の方はマキャベリとは違い、この時期を乗り越えて輝く時が来ることでしょう。読むなら日経新聞の過去の「私の履歴書」は詰まっています、まずは渡辺淳一先生の回以外から読みましょう。城山三郎氏の一連の著作なども読み物として面白いです。変わったところでは、ハードボイルド小説なんかも良いかもしれません。こんな時はロバート・B・パーカーの名著「初秋」などを読むと、ボストンに留学したくなるかも知れません。

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