待遇格差訴訟、最高裁判決が真逆に割れたワケ

各種手当は認めた一方、賞与・退職金は認めず

東京、大阪両地裁の段階から不合理な格差にあたり違法とされた住宅手当は、転勤のない正社員については、すでに廃止している。ただ、コロナ禍で経営環境が厳しい中、正社員の待遇を維持するために、手当を廃止しその原資をボーナスに組み替える動きが出ることを懸念する声が挙がる。原告側代理人の棗(なつめ)一郎弁護士は、「今回の判決を受け、各種手当を廃止しボーナスに回す事は十分にありうる。ボーナス等での格差是正も再度、旗を揚げて挑む必要がある」と語る。

だが、金額が大きく待遇格差是正の「本丸」であるボーナスや退職金について、最高裁はこの判決の2日前、非正社員側の訴えをほぼ全面的に退ける判決を出している。

大阪医科薬科大学の元アルバイトの秘書と、東京メトロ子会社のメトロコマースの元契約社員が、それぞれボーナスと退職金が支払われないのは不合理な格差で違法だと争った訴訟で、最高裁第3小法廷は10月13日、いずれも不支給は不合理とまではいえないとの、非正社員側が逆転敗訴となる判決を出した。

正社員との職務内容の違いを認定

「この日の判決を2100万人の非正規労働者が待ち望んでくれていたのに、本当に奈落の底に突き落とされた感じです」

メトロコマースの売店で10年以上契約社員として働いてきた疋田節子さん(70)は、判決後の記者会見で声を震わせながら話した。疋田さんたち契約社員だった女性4人は、約10年にわたり正社員と同様に駅の売店で働いてきたのに退職金がでないことは不合理な差別だと訴えた。

最高裁は原告らと正社員の職務の内容は「おおむね共通する」としつつも、正社員は複数店舗を統括するエリアマネジャー業務への従事や配置転換を命じられる可能性があるなど、「一定の相違があったことが否定できない」とした。また、退職金の支給目的が、「正社員としての職務を遂行しうる人材の確保や定着を図る」ことにあるとして、「不合理とまでは判断できない」と結論付けた。

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