将来は起業をしたい!
――ええっと、仕事の話も少し聞かせてください。
私は9月卒なので、イレギュラーですがインターンとして会社に入れてもらいました。最初に担当したのは第一希望の穀物。私は料理も大好きなので、食卓で身近に感じられる商品を扱えてすごく楽しかったです。
本配属は非鉄部門の営業でした。投資先の南米の鉱山から商品を船に積んで中国などに売る、というサプライチェーンマネジメント全般に関わっています。
高校生のときからの夢はハイヒールのデザイン会社を作ることです。社交ダンスの選手をしていた母は足の変形に悩まされていたので、ファッショナブルだけど足への負担が少ない靴を考えてきました。年を取って家族ができるとリスクを取れなくなるので、起業するなら早いうちのほうがいいと思っています。
いずれ起業を目指すことに関して、僕は頭に浮かんだ疑問を率直に口にした。北京大学や早稲田大学、そして就職活動先の会社はすべて「一流」と呼ばれるブランドである。夏夢さんは物心ついてから現在までそれを追求し利用して生きて来たのではないか。
それに対して夏夢さんは「一流かどうかは関係ない」と答えた。「本当に生きがいを感じられるフィールドで働きたい。そのままの夏夢として生きたい」という想いが抑えられないという。
今後は自分というブランドで勝負していきたいのだろう。無鉄砲なまでの勢いと自信を感じた。これが若さなのかもしれない。
しかし、生まれ育ちは誰にも変えることはできない。組織を離れて社会に直に接したとき、過去の生活で触れ合ってきた人的ネットワークやその中で培ってきた価値観と能力に依存している自分に気づくことだろう。一流の肩書が好きなエリート層にはそれなりの生き方があるのだ。いつの間にか夏夢さんが「海外出身のエリート美女」であることなど忘れ、活力と矛盾に満ちた一回り年下の女性と向かい合っている自分がいた。
(撮影:梅谷 秀司 ヘアメイク:HACHI)
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