菅政権に新たな火種、「ダブル杉田」問題の深刻

学術会議問題と「女はうそをつく」発言で大混乱

加藤勝信官房長官はすぐさま、「(任命リストを)詳しくは見ていなかったことを指しているのだろう」と擁護したが、政府与党内にも「首相自身が任命拒否の理由をきちんと説明しないと国民の理解は得られない」(公明幹部)との声が相次いでいる。

その一方、政府関係者が「事前に事務レベルの調整で6人の任命拒否を決めて首相に上げた」と指摘したことで、任命拒否を決めた当事者として杉田官房副長官の名前が浮上した。

官房副長官の国会招致はレアケース

政府側は「杉田氏は内閣のすべての案件を事前調整する官僚機構のトップ。しかも、内閣人事局長を兼務しているので、人事案件で調整するのは当たり前」(内閣官房)と主張。ただ、学術会議法で「推薦に基づいて首相が任命する」と規定されているため、「首相に代わって勝手に任命拒否を決めたなら、明らかな越権行為」(共産幹部)となりかねない。主要野党は次期臨時国会での予算委審議などの場に杉田氏の参考人招致を要求している。

ただ、内閣の事務方トップの官房副長官の国会招致は「あまり例がない」(自民幹部)。近年では麻生内閣時代の2009年、当時の漆間巌官房副長官(警察庁出身)の国会招致の例がある。政界を揺るがせた西松建設の違法献金事件の捜査状況について、漆間氏が担当記者とのオフレコ懇談の場で踏み込んだ発言をし、政府与党が国会招致に応じた。

自民党は今回、杉田氏の国会招致について「慎重に検討する」(森山裕国対委員長)と持ち帰ったが、国会の慣例を理由に応じない構えだ。

問題の核心は、これまで学術会議の推薦をそのまま形式的に任命したのに、菅政権がなぜ任命拒否したかだ。学術会議側は「学問の自由への侵害になりかねず、すべての学者の萎縮につながる」と問題視し、多くの学者や文化団体などが抗議活動を展開。13日にはその代表者が内閣府を訪問し、14万人超の署名と抗議文を菅首相宛てに提出した。

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