菅政権に新たな火種、「ダブル杉田」問題の深刻

学術会議問題と「女はうそをつく」発言で大混乱

ネット上では杉田氏の議員辞職を求める署名活動が展開され、性暴力の根絶を訴える「フラワーデモ」の主催者らが13日に自民党本部を訪ね、杉田氏の謝罪や議員辞職を求める13万人以上の署名を提示したが、党側は受け取りを拒否した。

杉田氏は政界で「炎上の女王」などと揶揄されている。同氏が所属する細田派内でも「次の選挙での比例名簿からの削除など、党としての厳しい処分が必要」(細田派幹部)の声も相次ぐ。こちらの杉田問題も自民党総裁としての菅首相の意向次第とされるだけに、国会での主要野党の追及材料となりそうだ。

菅首相の国会答弁が焦点に

13日には森友学園問題で自殺した財務省近畿財務局職員の妻が提訴した訴訟で、当時の土地取引担当者の「(改ざんは)理財局長・佐川宣寿氏の判断だった」などとする音声記録の存在が明らかとなった。菅首相や麻生太郎財務相は「検察当局も不起訴とし、財務省内の処分も終わっている」と再調査を拒否してきただけに、こちらも「苦しい釈明」(政府筋)を強いられそうだ。

さらに、菅首相の側近だった河井克行前法相と妻の案里参院議員(いずれも自民離党)の巨額買収事件の公判も進行中だ。買収の原資になったとみられる党本部からの1億5000万円の選挙資金には、二階俊博幹事長と当時官房長官だった菅首相の関与がささやかれている。13日の案里被告の公判では、広島市議が現金を受け取った際、克行氏が「これは総理から」と発言した音声記録が公開され、案里被告が号泣する騒ぎともなった。

菅首相は選挙中、案里氏支援のため官房長官としては異例の現地入りを繰り返し、その際に大好物のパンケーキを案里氏と食べている写真がネット上で拡散されている。菅首相は「政府は選挙資金には一切関与していない」との立場だが、主要野党は「政治的、道義的責任は免れない」(共産)とこちらも攻撃材料にする方針だ。

安倍前首相の突然の退陣表明と同時に後継者に急浮上し、あっという間に総理総裁の座を射止めた菅首相。「苦労人伝説」や「パンケーキ好きの甘党」など、大衆受けを狙ったイメージ戦略が成功し、高支持率での船出となった。政権発足1カ月の節目となった16日には、記者団に「やるべきことをスピード感をもって躊躇なく実行に移す」と笑顔で語った。

ここにきて、菅首相は内閣記者会所属の首相番記者とのパンケーキ懇談やグループインタビュー、各社官邸キャップとの懇談などを連続的に開催している。与党内では「したたかなメディア操縦術」との声が多いが、主要野党は「メディアとの密室談合」と反発している。

官房長官時代には、秘書官らが用意した応答メモを読むガードの固さで「鉄壁ガースー」と呼ばれた菅首相だが、次期臨時国会での各党代表質問や予算委質疑では、「メモ読みだけでは通用しない」(閣僚経験者)のは当然で、一部週刊誌に「答弁の猛特訓中」との記事も掲載された。国会論戦では「2人の杉田氏」への対応も焦点となるだけに、政界では格言をもじった「過ぎた(杉田)るは及ばざるがごとし」との陰口も聞かれる。

こうした状況を踏まえ、与党内では「国会論戦で菅首相が積極的に説明責任を果たせるかどうかが、事態打開のカギ」(自民長老)との声も広がる。「答弁ぶりも含めて、いかに“ニュー菅”を打ち出せるか」(同)が課題だが、今のところ「もともと頑固で、大胆な変身はありえない」(側近)との見方が支配的だ。

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