菅政権に新たな火種、「ダブル杉田」問題の深刻

学術会議問題と「女はうそをつく」発言で大混乱

これに対し、政府は「学術会議会員は特別公務員なので、憲法15条に基づき首相に任免権がある」と反論し、菅首相もインタビューなどで任命拒否撤回の考えのないことを明言している。さらに、河野太郎行政・規制改革担当相が学術会議のあり方を検討すると表明し、自民党も学術会議を民間組織などへ移行させることも含めた見直し論議をスタートさせた。

ただ、任命拒否の説明責任から逃げるような政府与党の姿勢に、主要野党は「論点のすり替え」(立憲民主幹部)と反発を強めている。

目立つ内閣支持率の低下

学術会議の問題が表面化した後の世論調査では、就任時で歴代3位の高率だった内閣支持率の低下が目立つ。首相自身は「それも含めての確信犯」(側近)とされるが、「もっとも厄介な学者集団を敵に回した」(有識者)との指摘も多く、与党幹部からも「余計なことをしなければよかった」との声も漏れる。

しかも、17日に開催される故・中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬に合わせ、政府が全国の国立大など教育現場に弔旗の掲揚や黙祷で弔意の表明を求めていることも問題になっている。政府は「慣例に従っただけ」と主張するが、全国の教育関係者から「内心の自由への政治介入」との批判が相次ぎ、火に油を注いでいる。

そうした中、菅首相は16日午後に首相官邸で日本学術会議の梶田隆章会長と会談した。梶田氏によると、菅首相は同会議が推薦した会員候補のうち、6人を任命しなかった理由については明確に説明せず、「学術会議として社会のために貢献できるよう、しっかりやってほしい」と述べたという。

一方、学術会議騒動の陰に隠れた格好となった自民党の杉田水脈衆院議員(中国ブロック単独比例で当選)の「女はうそをつく」発言への批判も根強い。杉田氏は過去に月刊誌で「(LGBTの)彼ら彼女らは子供を産まないから生産性がない」などと寄稿して大問題となり、雑誌は休刊に追い込まれた。

杉田氏は2012年の衆院選で日本維新の会公認で初当選、その次の選挙では落選したが、2017年衆院選で自民党の比例候補として復活当選した。その際、安倍前首相や保守派ジャーナリストで有名な櫻井よしこ氏の強い後押しがあったとされる。杉田氏は当初否定した「女は……」発言について、下村博文政調会長の注意を受けてブログで認めたものの、公式の場での説明や謝罪は拒否している。

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