労働組合はアタマが古すぎる ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(4)

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だから、メディアにお願いしているのは、われわれも防犯対策とかはものすごく進めてきているわけです。あるいは、警察とのタイアップとかね。だけど、間隙を縫ってやってくるやつがいたら、それをフレームアップすると模倣犯が増えるから、そこはお願いしますねと。犯罪を増やすような言い方は避けてほしいと。当然また、狙われる店も出てくるわけだから。

ACCSという自社開発した防犯システムもあって、本部に安全保障室という組織をつくって、24時間、まずお客様の安全ですよね。それから、従業員の安全を守るというミッションで機能しているんです。警護画面が直に店へ出る、それから録画は当然全部残って、だから、もし起きた場合でも警察に資料を全部、即刻提供しているんですよね。今回も捕まったけど、犯人検挙に直結するようにということは強化しているんです。さらに、緊急ボタンを増やすとか。これはどこにとは言えないんだけれども(笑)。

仮に何人でオペレーションをやっていても、やっぱり悪いやつが狙うとなったら、それなりの間隙をついてやってくるわけで、よくコンビニなんかでも言われているんだけど、2人置けといっても、トイレに入ったすきを狙って入ってくるとか、そういう例も業界の人に聞くと結構あるみたいだし、それから棚卸し、物出しのために引っ込んだり、いろいろあるわけですよね。

起きたことで、あなたのところ、けしからんというのは簡単なんだけど、やっぱり生きた企業としては、いろいろな制約の中で最大限、防犯もやる。だけど、すきをついて、もしそういうことが起きたら、やったほうがいちばん悪いのであって……。

――もちろん、それはそうです。犯罪者がいちばん悪いんだから。

やられたのが何だよみたいに、そういう報道をされると、社会的公正というのは何なんだよと。ましてや悪い人間に犯行を促すような、そういう書き方はしてほしくないなと。模倣犯が出るようなね。と思うんです。

生産力の発展が最大多数の最大幸福につながる

――小川さんは資本主義の中で理想を実現しろということで始められて、今やっていらっしゃる。やっぱり理想を実現するためには徹底的な資本家、究極の資本家になるという思いを。

資本家という意識はあまりないですよ。今どき、はやらない言葉。

――資本と経営の両輪というのは。

それは資本政策という意味だけれども、資本家というのはまたちょっと違うと思う。だから、前回も言ったかもしれませんけど、僕は達観したというか、いろいろやって、マルクスの本質というのは生産力だと。

中国も一時、毛沢東が主導権をとったけど、鄧小平路線になったというのは、やっぱりマルクス主義の本線ですよね。生産力の発展を阻害するから資本主義的生産様式に問題があって、それを打破するカギが必要なんだというのは、ひっつめて言うとマルクス的な認識であって、ただ、ここの部分、生産力主義というのは基本的に正しいと思うんです。

ここも日本人の左とかがよく忘れちゃうことなんだけど、生産力の発展ということが最大多数の最大幸福。今、異論を唱えている首相もいるんだけど――につながるわけであって、必要条件になるわけですよね。だから、生産が縮小しちゃったら不幸の始まり、シュリンクであって、雇用も減る、賃金も減らさざるをえない。そういう生産構造になってくるわけで、下部構造の重要性はそこです。

そういう意味で、今後、資本主義的な生産様式を上回る生産様式というのが出てくるかもしれないけれども、1000年とは言わんけど、300年ぐらいは資本主義的生産様式。それも、まず取っかかりじゃないかと。20世紀でT型フォードから始まって米国的な資本主義社会ができて、あれも一つの形にすぎなくて、日本は日本として、これから独自のもっと調和的な資本主義社会というのを、生産力の発展をベースとしながら作るべきであって、その中で社会的な役割を果たしていく、いい株式会社というものがグローバルの中で生き残っていく、成長していくということが必要条件になると考えたんですよね。

僕は労使という言い方自体も古くなっていると思うんだけれども、全メンバーがそういうふうに考え、やっていくのがいい株式会社であり、可能じゃないのと。ウチで言えば、全員が企業の理念、ゼンショーの理念を、ゼンショーグループ憲章と物質化されているけど、共有し、それを軸にしていろんな業態のお店で汗かいて、お客様においしい商品をいい気分で食べていただいて、世界にまた実現していって便利な世界にしていく。しかも、安全な食。

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