労働組合はアタマが古すぎる ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(4)
――要するに、コーヒー豆か何かなんですか。
コーヒーが主体で、一部紅茶もやっています。だから、インディアンにならない、言っては悪いけど、要するにお父さんたちの酒代にならないように、きちっと。世界でいくと、年間1400万人ぐらい、まだ餓死しているんですよね。だから、これは食糧が足らないんじゃなくて、やっぱりシステムに問題があるわけだし、それから、途上国のいろいろな社会の構造自体の問題ですよね。
そこでもってわれわれのフェアトレードプレミアムが、乳幼児死亡率が非常に高いから、ここのところにちゃんといくように担保するという仕組みを作っているんです。そこで現地の人も雇用し、そして、ちゃんと帳簿もつけてもらって、ゼンショーにレポートをちゃんとやるという仕組みを作ってきているんです。
現地でも最初は、何で俺のところにカネが入らないんだよ、入ると思っていたのにとか、やっぱりお父さんたちからすると、あるんです。だけど、そうじゃなくて、こうなんだという説明を一生懸命やって最後納得してもらって、現地生産組合とサインしてやっているわけです。そういう形がメキシコの南部と、それから東ティモール、パプア、タンザニア、ケニア。ほかのところも今、開拓中なんですけどね。
そういうことも並行的に食の企業としての責任においてやって、ボランティアと違って、これはサステイナブル、持続可能なシステムだから。日本の消費者に対しては、安全なコーヒー。前も言ったかもしれないけど、トレーサビリティーが確立してないし、言っちゃ悪いけど、大手スター何とかも青い豆のうちから安く買いあさったり、それで彼はディープローストするから、わからないじゃないかみたいな。そういう古い構造を打破して、現地にも子供にちゃんとした教育をさせられるような、そういう原資が、コーヒー豆を収穫し、これを加工するのに技術とか機具が要るわけですよね。それから、運搬するのに車が要るとか。
ティモールでわれわれのプレミアムでトラックが買えるようになったんだけど、そういうものは大手に生産手段を握らせていたから、いいように彼らのトラックが来たときに、そのときのあれで買いたたかれるという構造だったわけです。ただ、トラックは生産組合が持てば、自分らで、ちょうど収穫の天気に周回して回れるし、そういうこともできるようになってきたと。少しずつ積み上げて、日本側では安全な豆が供給される。向こうでは、お父さんたちが飲むんじゃなくて、社会の子供の医療であるとか教育におカネがちゃんと使われるような仕組みをつくっていくということを並行的にやっているわけです。
適正配置でないと経営は成り立たない
――返すがえすも、労働問題はちょっとひっかかりますね。
でも、もう少し時間も欲しいし、あれは3年半前。確かにこじれた件なんだけど、その後は、当然、そういう教訓も踏まえたビヘービアで改善はしてきているわけです。
――現場は知らないからあれなんですけれども、小川さんがおっしゃるようなことも確かに起こりうるなとは思うんですが、ゼンショーのお店というのは同業他社と比べて、松屋とか、吉野家とか、昼間、夜、あるいは深夜の労働条件を比べるといいんですか、悪いんですか。
労働条件って、どういう意味かですよね。それは賃金のことですか。
――賃金もそうだし、たとえばすき家の場合は深夜が1人しかいないと。1人しかいないと安全問題もあるし、そもそも休めない、休憩も取れないということがあるという話も聞いたんですが。
一部、スポットがフォーカスされて報道されている例もありますけど、ただ、基本的なやり方というのは、入客数に応じたシフトを立てるわけですけれども、人員配置ということを基本的にやっているので、深夜が1人とかいうよりも、3人の店もあれば、2人の店もあれば、確かに1人の時間帯もあるんだけれども、当然、1人の設定にして組み立てているわけじゃないですよね。全時間帯、適正な入客に対する適正な配置をやっていかないと、企業としては経営が成り立たない。骨格はね。そういう考え方でやっていると。
ただ、メディアにも言っているのは、確かに治安が悪くなっている。これも僕は社会として改善していく必要があると思うんだけど、そのときに、悪いやつは狙ってやってきているわけで、そこをメディアが不安をあおって、この店やられたとかいうと、模倣犯というのは今までのあれでいくと、そういう報道をされて、ばっと出た時期があるんですよ。