労働組合はアタマが古すぎる ゼンショー・小川社長が語る経営哲学(4)

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調和はいいことなんだけど、やっぱりそれなりのビジョンとか構想力を持たなければ、21世紀は世界の中では戦っていけないと僕は思っているんです。やっぱり、アングロサクソンにしても、ユダヤにしても、ものすごい構想力と戦闘力でもって、世界を見て、世界のマーケットの中で、金融から始まって。ものすごいビッグビジネスをやっているし、また中国も世界の中で、今、アフリカだ、アジア各地だ、企業も買うし、資源も押さえるし、グローバルなものすごいビッグなものになりつつあるわけです。そういう中で日本人がしとやかに、いやあ、ウチなんかとか、中小企業から20倍やったけど、ここからはそろそろだろうとかいう発想ではいけないと。

国内では、確かにこの10年間、20倍。だけど、今度1億2700万人というのは、長らく2%だったけど、1億というのは50億ぐらいの中の2%ぐらい。10年ぐらい前はそういう感じだったじゃないですか。世界人口50億で、日本というのは2%ぐらい。それが20%のGDPを持ち、国連分担金を20%払ってきたのが、ここのところ、ずっとですよね。

それが3位になろうとしているんだけど、世界構造はそういうふうにますますグローバルプレーヤーが増えて、その中で日本の企業もグローバルプレーヤーとしてやっていく部分が根幹にないと、日本経済は地盤沈下しちゃうわけですよね。雇用も減る、さっきおっしゃったような働く人の立場も悪くなる、生活も悪くなる。

今、こうなる瀬戸際であって、狭い範囲で何とかユニオンで残業代何時間がどうだとか、それはいいんだけど、乗っている船が沈んじゃったら、どうしようもないだろうというのが労使協調の基本的な考えですよね。これをもっと広い視野でグローバルの中でやっていかないと雇用も守れないし、ましてや、増やせないし、GDPも増えない、ペイも増えない、社会保障も行き詰まる。

こういうふうに働く人も、いい悪いは別にして、世界経済の中で組み込まれた存在になってきているんだから、相変わらず1960年ごろのイデオロギーでチマチマしたコメよこせ運動をやっていて、やっぱり人材が行かなくなって久しいから衰退産業になる。労働運動も、それから共産党も、旧社会党も社民党として没落したけど、民主党の中にまだごそごそいたり、うごめいていたり、労働組合出身者が国会議員になったり。僕に言わせれば、1960年代の構造じゃないかと。

さんざん知っているけどさ、という感じがするんですよね。そこはもっとメディアプレーヤーが新たな認識を……。労働運動側に対しても、細部に対しても、あるいは民主党の中の労働議員にしても、やっていけなくなるんです。いちばん憂いているのは、僕はそこだと思う。

それから、労働組合大手、連合の幹部とも話したことがあるんだけど、やっぱり頭が古過ぎる、化石。そういうグローバル経済の中で、働く人の収入が増え、年金の心配がなくなり、という社会のデザインを本当にまじめに考えているのと。上納金をいっぱい取っておいて、何よと。相変わらず頭の中が古くて、ドメスティック経済で、ドメスティック雇用で、ドメスティック社会保障でという発想なんだよね。

いちばん大事なのは教育

――小川さんは、雇用を守るためには企業の成長だと。これが大前提だよねと。

前提というより必要条件。いちばん大事なのは、本当言うと教育なんだけどね。国家百年で見ればね。やっぱり成長の原動力は明治以来、あるいは、もっと言っちゃうと、それ以前の藩校から始まって、営々として初等教育、中等教育に相当する部分を読み書き、そろばんでやってきたという国だから、やっぱり植民地にもされなかったし、その後の経済成長、GDP2位という歴史を作れたわけであって、フィリピンはどうだったのとか、インドネシアはどうだったのというと、言っては悪いけど、因果関係は明確でしょうと僕は思っているんですよね。

だから、今、力を入れているフェアトレードにしても、東ティモールから始まって、今度、ケニア、タンザニアでもやっているんですけど、母子組織にわれわれのフェアトレードプレミアムという部分を明確にしていくようにしたわけですよね。タンザニア出身も新卒で入って、これはたまたまなんだけど。

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