独立性を強調する大陽日酸のプライド 三菱ケミカルの傘下に入る"うまみ"とは?

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5月13日の会見で手を取り合った、三菱ケミカルの小林喜光社長(左)と大陽日酸の田邉社長

「上場は維持する。ブランド力、経営の透明性、社内のモチベーション、ステークホルダーからみた信用力を維持していくことが、企業価値向上に資する」――。5月13日のTOB(株式公開買い付け)発表から一晩が明けた、14日の決算説明会見の場で、大陽日酸の田邉信司社長はそう言い放った。

工業用ガス大手の大陽日酸が、三菱ケミカルホールディングスの傘下に入ることが決まった。12月末までをメドとしているTOBが計画どおり終了すれば、三菱ケミカルが大陽日酸の51%の株を保有することになる。

大陽日酸と三菱ケミカルとの関係は古い。1953年、大陽日酸の前身の1つである大陽酸素に対して当時の三菱化学(現・三菱ケミカル)が出資したのが、そもそもの関係の始まり。最近では、2013年10月に第三者割当増資によって、三菱ケミカルの出資比率が15.1%から26.97%に引き上げられた。

こうした背景もあり、三菱ケミカルによる子会社化は既定路線だったといえる。発表があった13日の終値は889円と、前日の終値802円から約11%上昇。14日には年初来高値917円をつけるなど、株式市場も今回の買収を好感している。

プライドの理由

ただし、大陽日酸は本業のガス事業については三菱ケミカルに干渉されることなく、自分たちで進めていく意向だ。社名変更の予定もない。TOB合意のリリースや冒頭の田邉社長のコメントの端々からは、ガス国内大手としての大陽日酸のプライドが感じられる。

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