ただ、先述のようにアルバイト人気ランキングでは、ダイソーが1位を獲得しています。一方のセリアは7位でした。これはやはり店舗数の差が大きく影響しています。
日本における店舗数は、ダイソー3493店:セリア1679店(2020年2月時点)と倍以上の差があります。今年、ダイソーがセリアをかわして第1位になったのは、コロナ禍によって「通いやすさ」への重視度が高まったからです。 “安全に通える身近な職場”としてダイソーに軍配が上がったのでしょう。
コロナ不況の救世主となりうるか
1980年頃の100円ショップは、問屋からすべての商品を70円以下で仕入れて100円で売るという構造であったことから商品の質にも限界がありました。それゆえ「安物買いの銭失い」と揶揄されることもありました。その後、100円商品は安価で品質は劣るという先入観を払拭するため、仕入れ原価が100円に近いものや原価割れしている商品も100円として販売する企業努力によって、徐々にポジションを獲得していったのです。
バブル崩壊後の平成不況時代において、安価な商品を求める当時の消費者のニーズも追い風となりました。商品の原価や原材料価格が著しい低水準価格であったこと、メーカーや卸売業者から大量の商品・商材を、現金取引で行うことで、コストを抑えて仕入れを実現、付加価値商品を店頭に並べることができたのです。生活に関わる雑貨品を中心に、多岐にわたるジャンルの商品を陳列することで「100円ショップ=多数のジャンルの商品がある」とのイメージ向上につながりました。
こうした積極姿勢がご近所の評判やメディアを通じて知名度を一気に上げ、100円ショップという形態が定着し、業界的にも全国区レベルの小売業に成長する結果となりました。またメーカーが生産した商品でも自社オリジナル商品仕様にすることにより、単なる小売業ではなく商品開発力をも持ち合わせる業界として捉えられることにもなりました。
こうして振り返ってみると、100円ショップ業界の歴史は「安かろう悪かろう」からの脱却を端緒としながら、つねに商品を磨いていくチャレンジの歴史であったことがわかります。その商品力が、事業の拡大のみならず採用ブランド力を向上させたのです。
コロナ禍において求職者が最も働きたい職場である100円ショップ。バブル崩壊後の不景気に成長したこの業界は、雇用の受け皿としても期待が高まっています。
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