41歳で余命知った肺癌医師が遺した死への記録

2001年ブログもなかった頃にPHSで書いた日記

「末期癌に関して/1.末期癌患者の心理」に書かれた率直な心境
実際に末期癌になった私がどんなことを考えているかというと…
(1)最も優先する希望は、子供たちに苦しむ姿を見せたくないということです。特に、下の娘は、まだ「死」というものをとても恐れています。できることなら、死の直前に苦しむ姿を見せる事だけは避けたいと思っています。
(末期癌に関して/1.末期癌患者の心理 より)

公開から1週間後、告別式での挨拶を想定した「最後のあいさつ」をアップしたが、そこでも家族への言及が重い位置にある。

公私ともに充実した幸せな人生であったと皆様に感謝しております。
ただ一つ心残りなのは、家族のことです。
私は、夫として妻を幸せにする誓いを守れず、親として子供達を成人するまで育てる義務を果たせませんでした。
遺された家族は、これからいろいろと苦労することになるでしょう。
どうか皆様、私の家族にこれからも暖かいご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
(最後のあいさつより)

たびたび綴られる家族に対しての心残り。そこに込められた感情は、走り書きメモの男性とぴったりと重なる。

人格の崩壊した様を見せたくない

家族愛と並んで印象に残るのは、どじつきさんの強固な理性だ。

数千の闘病サイトを追いかけていると、不安や憤りなどのマイナスの感情を爆発させたり、性格がガラリと変わったように見えたりする日記にもしばしば出合う。また、終末期にさしかかり、それまで皆無だった誤字脱字が頻発するようになったり、支離滅裂にもとれる記述が増えていったりするケースも珍しくない。

人間の感情は多面的だし、死に至る過程で文章を構成するほどの集中力を保つのはどんどん難しくなっていく。性格の変化や発信の限界のようなものが垣間見えても、それはごく自然なことだし非難する人はいないだろう。というより、死に至るぎりぎりまで健康な頃の人格を維持するというのは不可能に近い。

医師であるどじつきさんは当然そこを熟知していた。だからこそ、前述の「末期癌に関して」では終末期に向けて率直な願望を書いている。

(2)最期まで脳転移による精神症状がないことを願っています。人格が崩壊した様を、子供たちには決して見せたくありません。精神症状が出るくらいなら、鎮静剤で眠らせてほしいと思います。
(末期癌に関して/1.末期癌患者の心理 より)
次ページ残るはどうピリオドを打つか
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