「経歴はスゴい」がなぜか転職できない人の盲点 「オーバースペック」は体のいい断り文句
人事の世界では、「絶対に採用してはいけないタイプ」があります。それは「優秀な悪い人」です。
優秀な悪い人は悪知恵を働かせ、場合によっては嘘でもなんでもついて、組織や事業のためではなく、利己的に行動します。
たった1人の不誠実な人を採用したがために、組織がめちゃくちゃになる危険があるわけです。例えば、そういう「優秀な悪い人」は、自分の地位を守るために優秀な人材が応募してきたら面接で落としたりしますし、逆に自分を支持してくれるような自分に従順な人材を多少能力が低くても強引に採用したりします。
また、事業上では、高い目標を立てると達成しにくくなるためにいろいろな理屈をつけて低い目標の正当性を訴えたりします。また、さらに悪質な人になれば、上司のポジションが空くのを狙って、上司に汚点がつくような失敗をわざとしてみることもあります。これらはすべて組織にとっては大きな背任行為ですが、なかなか気づくことはできません。冗談だろうと思われるかもしれませんが、すべて実際に見聞きした事例です。私自身も恥ずかしながら、以前、経営する会社で同様の経験をしました。
「優秀な悪い人」はなかなか見抜けない
ただ、難しいのが彼らは優秀であるがゆえに、面接などでもなかなか見抜けないことです。聡明で弁は立つし、採用する側が喜ぶようなことを、ちゃんと意図を汲んで言ってくる。
本当はたいしたことがない過去の経歴も、キレイに粉飾して話すので人事担当者も騙されがちです。そもそも「頭がいい」ということ自体だけを見ると、頭脳労働が主な現代においては、プラス評価になります。一方で、面接ではなかなか誠実さや真面目さまで見抜けません。
人事や経営に長く携わっている読者であれば、同様の経験をした人も少なくないはず。その苦い経験が重なると、本能的「スゴい経歴」の人の応募を警戒するようになります。
「この人、経歴はスゴいけど、なぜうちの会社に?」とか「経歴自体はうまく表現されてはいるけど、実はそんなにたいしたことがなく、盛られているのでは」などと疑心暗鬼になります。それゆえ、スゴい経歴の人ほど採用しづらい状況に陥るわけです。
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