ドナルド・トランプ政権発足を前に、シリコンバレーのエリートたちが水面下で動いている。
運輸長官にウーバーの元幹部が、厚生長官にピーター・ティールの元側近が、そしてイーロン・マスク率いる政府効率化省(DOGE)には多くのテック業界幹部が集結する――。
これは、ドナルド・トランプ政権発足を前にシリコンバレーのエリートたちが描く人事構想だ。テック業界のリーダーたちは水面下で連携し、閣僚人事にシリコンバレーの足跡を明確に残そうと、自らの仲間を推している。トランプの政権人事はそうした働きかけにオープンと見えるためだ。
政権人事で際立つマスクの存在感
働きかけは、主にマスクを介して行われている。世界一の富豪であるマスクはトランプ陣営の政権移行チームの正式メンバーではないが、事実上の政権関係者だ。政権移行チームの正式メンバーである次期副大統領J・D・ヴァンスもまた、ベンチャーキャピタリストとしての経歴から、シリコンバレーと深いつながりを持っている。
つまり、テック業界の投資家や幹部たちは、たとえ最終的に働きかけが実を結ばなかったとしても、金融や石油・ガスなどの他業界に比べ、トランプの関心を集めやすい立場にある。トランプ政権移行チームからのコメントは直ちには得られなかった。
マスクの活動内容に通じた3人の関係者によると、マスクの友人で投資家のジョー・ロンズデール(パランティア共同創業者)はフロリダ州パームビーチにあるトランプのリゾート施設マール・ア・ラーゴで1日余りを過ごし、マスクの政権移行作業を手伝ったという。