前号から、イリイン・ロシア共産党第2書記が、ロシアの亡命知識人で宗教哲学者のニコライ・ベルジャーエフに強い関心を持っていたことについて詳しい説明を始めた。この話は、単なるエピソードにとどまらない。政治エリートに食い込み、情勢を分析するうえで重要な要素がある。本件は2つの意味で重要である。
第1は、世界観型の宗教を信じる人にとって、その人の信仰は政治活動の原動力になっている場合が多いからだ。そのよい例が、11月5日の米大統領選挙で当選したトランプ氏だ。
信仰と召命がトランプ氏の原動力
現在、トランプ氏は自らの宗教を単にキリスト教だと述べている。以前は長老派(プレスビテリアン)と言っていた。長老派とはスコットランドに起源を持つプロテスタントのカルバン派だ。この派の特徴は、生まれる前に選ばれて救われる人と捨てられて滅びる人を神が予定しているという考え方だ。
カルバン派は人間の努力は救済にいっさい関係しないと説く。このような考え方を神学的には二重予定説と呼ぶ。カルバン派は長老派、改革派などに分かれる。また、神学的立場が個別教会と個々の牧師や神学者に委ねられている会衆派(コングリゲーショナリスト、組合教会、日本では同志社系)にもカルバンの影響を受けている人が多い(筆者もその一人である)。
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