ロールスロイスが高級車の代名詞になれたワケ 経営破綻・身売りを経て19年に最高売上を達成

拡大
縮小

最初に世界的な名声を得たモデルは、「30HP」に変わる新型6気筒エンジンを搭載した「シルヴァーゴースト」だ。

「シルヴァーゴースト」。すでに先端にはスピリット・オブ・エクスタシーやパルテノングリルが見てとれる(写真:「OCEANS」編集部)

“世界最高の車”とも称される超高級車で、世界中の富裕層や王族に愛され、日本では、大正天皇、昭和天皇の御料車として用いられた。「シルヴァーゴースト」の生産が終了したのは、1925年。その後継モデルは、今でもフラッグシップモデルとしてその名を残す「ファントムⅠ」である。

ロイスは技術者としてのこだわりが強く、信頼性の高い車を作ることにこだわった。こうして熟練工によるハンドクラフトが生み出す高い耐久性や、こだわり抜かれたマテリアルによる贅沢な内外装により、高級ブランドとして確固たる地位を築いたロールス・ロイス。

1931年にはイギリスの自動車メーカー「ベントレー」を傘下に納めるなど、順調に成長を続けた。2つの世界大戦も乗り越え、1947年には量産モデルである「シルヴァーレイス」、1949年には「シルヴァードーン」と、現在までそのモデル名が続く車種が発表されることになる。

BMWグループとして生まれ変わる

最初の転機が訪れたのは1971年。

第2次世界大戦中に参入した航空機のジェットエンジン事業の不振で、経営破綻してしまう。自動車部門は新たに「ロールス・ロイス・モーターズ」として、一方、ジェットエンジンを含む工業部門は「ロールス・ロイス・ホールディングス」として再出発。空港などで間近から飛行機を見ると、ロールス・ロイスのロゴを冠したエンジンを確認することができる。

ロールス・ロイス・モーターズとなってからも、究極の1台にこだわる姿勢は変わらない。むしろ、そのほかの高級車メーカーとの差別化を図るために、より走る調度品とも言うべき超高級感が高まっていった。

その分野の最高峰を指して“○○のロールス・ロイス”(ex.砂漠のロールスロイス)と慣用句のように使用されるほどの存在となっていく。

1980年代に販売されていた「ファントムVI リムジン」(写真:「OCEANS」編集部)

そして2003年、紆余曲折を経てベントレーをフォルクスワーゲングループが、ロールス・ロイスをBMWグループが引き継ぐことになり、また新たなスタートを切る。

次ページ楽しみな新生ロールス・ロイス
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT