こうした先進安全技術以外にも、27万円分の価値はある。新しい設計思想であるTNGAを用いたプラットフォーム(車体の土台)、新型2.0リッターエンジンとギヤ機構付の新型CVT(駆動力をタイヤに伝えるトランスミッション)などがそれ。上質さをうたうSUVに似合わない言葉だが、新型ハリアーのSグレードは間違いなく“お買い得”だ。
「フォーマルでスポーティー」なスタイリング
2019年は「RAV4」「ライズ」、2020年は「ヤリス」から派生したSUVモデルである「ヤリスクロス」とヒットが続くトヨタ。冒頭にあるようにハリアーが約45000台も売れたのは、「流行のSUV」という理由だけにとどまらない。他モデルとのわかりやすい差別化、いわゆる確立されたハリアーブランドこそ強みだ。
ハリアー人気を支える大きな柱は、初代から一貫した“適度にフォーマルで適度にスポーティー”といったイメージを、時代ごとにうまくアレンジしながらユーザーとともに成長してきたことにあると筆者は考えている。“フォーマル”とは、たとえばデザインや外観/内装の色使い、さらにはインパネ周辺の装飾などに見て取れる。
片や、カタログを彩る常套句となった“スポーティー”という言葉は、「高級乗用車の基本性能と機動性能を兼ね備えるクルマ」として、初代ハリアーから明確に示されている。よってこれは、語源に忠実な「速さやハードな走り」をイメージさせるものとは違った独自の世界観ともいえる。
加えて、グレードバリエーションが豊富であることもユーザーからすれば朗報だ。
2.0リッターガソリンと2.5リッターハイブリッドでは、同一名称/同一装備(一部例外あり)のグレード展開とし、ともにFFモデルと4WDモデルを備える。価格と目的など、ユーザーの優先順位に応じた選択自由度が高い。ちなみにガソリンとハイブリッドの車両価格差はFFモデルの場合で59万円だ。
“フォーマルでスポーティー”という側面は走行性能にも見てとれる。思えばこれも初代から受け継がれてきたハリアーの特徴だ。
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