GAFA対抗「日本型スマートシティ」に勝算あるか 人口増加を見込む「世界の都市」へ売り込む作戦
中国やGAFAに対抗して日本独自のプラットフォームを世界に売り込んでいくことは可能なのか。
あのグーグルですら、2020年5月にデータ保護に関する住民の合意に苦労していたカナダ・トロント市のスマートシティ・プロジェクトから、撤退を決めた。実はそこに日本発のプラットフォームが食い込めるチャンスがある、というのが村上氏の読みだ。
日本企業にチャンスはあるのか
ここにきて、アメリカと中国との間でハイテク摩擦が激化しており、ファーウェイなどの中国IT製品を排除する動きが広がっている。日本政府も、中国がスマートシティのプラットフォームを国際規格として提案する動きに警戒を強めており、他国と協力して中国の国際規格化を阻止しようと動いている。
「中国製がそうかどうかはわからないが、どこにデータを抜き取るためのバックドアが組み込まれているかがわからないようなシステムの導入は、国の安全保障上も問題がある」(村上氏)との認識だ。「経済安全保障」は政府をあげての重要課題として、体制強化が図られている最中である。
グーグルのプラットフォームは原則、データを一元管理することを志向した仕組みと考えられる。それがトロント市民の反発を招いたとすれば、分散型アプローチの日本製プラットフォームが食い込める可能性はあるかもしれない。
村上氏を取材した後、ジャカルタ郊外の100ヘクタール超(大手町・丸の内・有楽町地区に匹敵)のエリアのスマートシティ開発に、三菱商事が参画するとの発表があった。現在はインフラも建物もない、まっさらなグリーンフィールドのエリアで、ゼロから新しい都市をつくる。
三菱商事の広報によると、スマートシティのデータプラットフォームを具体的にどうするかも決まっていないようで、日本企業にもチャンスはある。
日本経済がスマートシティで大きく飛躍して「跳び蛙」となるのか、停滞したまま「茹で蛙」となるのか。これから日本企業、地方自治体、国がどう動くかにかかっている。
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