トランプ大統領の知られざるいまの「懐事情」 ホテルやゴルフコース事業はどうなっている?

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それから何年か経ち、『アプレンティス』の成功によりトランプの名前がニューヨーク以外にも広く一般大衆に知られていく中で、真実と誇張のギャップが広がっていった。ロールスロイスに乗りメイドを雇う億万長者であった亡き母が、一般的な洗濯洗剤の「オール」を使っていたなどとホラを吹くのはまあいいだろう。しかし、今やトランプは、人々に経済的打撃を与えるようなデタラメを吹聴している。

トランプにとって最大のものとなった裏取引では、マルチレベルマーケティング会社のACNと組んでいた。ACNはビデオ電話や衛星テレビといったサービスを販売することで、自宅にいながら生計を立てることができるとして勧誘を行っていた。数カ国による捜査の手が及んだACNには、同社製品の販売によって得られる収入よりもはるかに多い支出を強いられる羽目に陥った、という苦情が残されている。

フランスの規制当局は「採用された人のうち十分な収入を得ることができていたのはわずか1%であった」と結論づけ、そのほかの人はお金を失ったか、よくて月に35ドル程度の収入を上げていたと裁判所の記録には記されている。アメリカ・モンタナ州の当局も同様の結論に達し、同州の平均的参加者はACNに対して各種手数料として約750ドルを支払う一方で、53ドルしか取り戻すことができていなかったことが判明している。

州規制当局がとった法的措置の解決過程の中でACNは悪事を行ったと認めておらず、同社のビジネスモデルが誤解されていると主張している。同社サイトには一時、「ACNとピラミッドスキームの違い」というページをご丁寧にも掲示していた。

時代遅れのビデオ電話を賞賛

トランプとその家族に対して係争中の集団訴訟では、トランプ・ブランドがACNのビジネス戦略の中核をなすものとして機能していたという主張がなされており、テレビ番組『セレブリティ・アプレンティス』の中でACNが紹介された映像を見て申し込んだという原告の1人の証言を引用している。

ACNはトランプが同社製品を推奨するDVDを販売し、ウェブサイト上に「トランプ・パートナーシップ」のスペースを設け、ACNイベントに出場したトランプの写真や、輝かしい推薦の言葉を紹介していた。それは、「ACNは事業の成功により名声を確立しています。成功、それはトランプの名前、そして、成功を収めている人たちの名前でもあります。あなたの名前もここに並ぶことができるのです」──。トランプが2011年に『アプレンティス』でACNのビデオ電話を紹介した頃には、その技術はほぼ時代遅れなものとなっていたが、それでもトランプは「ACNのビデオ電話はすごいものだと思う」と言って盛り上げた。

トランプの納税申告書は、同社がトランプによるプロモーションにどれだけ金を払っていたかを示している──10年以上にわたり880万ドル、大不況のどん底だった2009年には100万ドルだ。必死になった人たちが、早く金を手にできるという約束に引き寄せられたのだ。トランプはその実、経済的不安を積極的に利用したのだ。

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