トランプ大統領の知られざるいまの「懐事情」 ホテルやゴルフコース事業はどうなっている?

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「不動産王」と言われるトランプ大統領のいまの懐事情はどうなっているのか(写真:Tia Dufour/The White House/Handout via REUTERS)

「たたき上げの億万長者」という伝説は、世界中でお金を必要とする人々を釣るための商品と化した。

自身が「真実に満ちた誇張」と呼び、人の欲望に働きかける手法を好んで用いるドナルド・トランプ大統領は、つねに詐欺ギリギリの線を歩いてきた。ほどなく、トランプは完全に一線を超えたと疑われるようになる。

ビジネスの知恵、高値で売ります

金の卵を産むバーネットのガチョウからさらに金を絞り出そうと、トランプは疑わしい数々の商品やサービスと契約を結ぶが、それらにはトランプが持つビジネスの専門知識から得られた知見を販売すると称するものもあった。

トランプがオハイオ州デイトンでのイベントの講演料として30万ドルを手にしたのは、TV番組『アプレンティス』の1年目すらまだ終了する前のことだった。このイベントは、参加者が2995ドル(約30万円)を払えば一瞬にして富をなす秘訣を学べるというもので、主催会社は後に詐欺の一種であるポンジスキームの疑いで裁判にかけられている。

トランプは独白で、カジノでの初めての失敗を美談に仕立てて語っていた。被害者の立場にいたトランプが根気強さと頭脳により土壇場で勝利を勝ち取った、というストーリーだ。聴衆には大受けした。「彼がいたことで安心感が得られたわ」と、デイトンでの同イベントで投資キットの購入に退職基金をつぎ込んだリリー・モスはトランプについて語った。

納税記録には、ラーニング・アネックス社の後援による別の登壇の機会でトランプに730万ドルが支払われたことが示されている。「不動産蓄財エキスポ:一度の週末であなたも億万長者になれる」のようなタイトルのイベントでの講演料としてのものだ。アネックス社の創業者との共著による本、『大きく考えて、大きく勝つ:ビジネスも人生も思いのまま』では、140万ドルの印税を手にしている。

トランプが伝説化される過程では、父親から何百万ドルもの救済資金を得ていることや、IRS(アメリカ国税庁)に申告していた損失について触れられることはなかった。また、利己的で怪しい数々のビジネスベンチャーに名前を貸すことと引き換えに、巨大な金を得ている気配すら出していなかった。この金は納税データを調べた結果初めて明らかになったものだ。

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