トランプ大統領の知られざるいまの「懐事情」 ホテルやゴルフコース事業はどうなっている?

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同じ年に行った別の取引では、トランプネットワークというリブランディングを施した会社でビタミン剤のマルチマーケティングのプロモーションを行っているが、トランプのスピーチにより感化され、500ドルもするスターターキットを購入して友人や親戚に勧める人たちが発生した。トランプは映像の中で、「人は新しい夢を必要としている」と語った。「トランプネットワークは何百万人もの人々に新たな希望を、不況から抜け出すためのワクワクするような計画とともに与えたいのです」。

それから数年の内に、トランプネットワークを裏で操っていた別会社のアイディール・ヘルス社は売却され、所有者らは破産宣告を行った。それでも、トランプがビタミン剤のボトルに希望を詰め込んで販売し、納税記録に示された260万ドルの売り上げを計上するには十分な時間だった。

2016年には、トランプは単なる非認可のセミナーである「トランプ大学」に関する裁判の和解金として2500万ドルを支払うことに合意している。トランプ大学では不動産の商売を学べるという触れ込みにより最大3万5000ドルにも及ぶ受講料を支払う人が出ていた。

しかし、この法的清算はトランプとその会社が10年間運営してきた中で例外的なものであった。2018年に起こされた集団訴訟ではこの会社についてこう述べられている。

「同社はただ1つのことを目的とした、大規模で複雑な事業体である。その目的とは、経済的に取り残された人々が教育への投資や小型事業の立ち上げなどによりアメリカンドリームを追求しようとするのを、構造的な詐欺行為により金をだまし取り、私腹を肥やすことだ」

自分の名前のビルはたくさんあったが…

トランプは自身が所有するわけでもないビルに自らの名を貸し、多額の利用料を徴収していた。彼に資金を投じた投資家が何千万ドルも失う中で。

トランプは頻繁に、自らを売り出すセールスピッチにおいて、マンハッタンの「あらゆる場所のビルを所有していた」と自慢する。実際、ある時点では「トランプ」の名は少なくとも17のビルに刻まれていたものの、ビル全体、またはその一部をトランプが所有していたのは数棟にとどまっている。それ以外の多くは、トランプが数十年前に開発を手がけたものの売却済みであり、その後自身のカジノの倒産の影響で融資が得にくくなる状態となった。

自身でビルを建てられる見込みが急に薄れたことから、トランプは自身の名前をほかの開発会社のプロジェクトにライセンス供与することを試みた。このアイデアは、無名の開発会社であるベイロック・グループがトランプタワーの24階にあるオフィススペースをリースし始めたことで軌道に乗り始めた。

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