新ジャンル増税、ビール各社が描く「皮算用」 消費者はビール、それともチューハイを選ぶ?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今回の酒税法改正は2018年に決まった。財務省主税局の担当者は、「ビール類は同じような飲まれ方をしているにもかかわらず税率が異なることで、その税率差を狙った商品開発が行われてきた。この現状を改め、課税の公平性を回復させる」ことが改正の目的だと話す。そして、「増収を目的とした改正ではない」というのが主税局担当者の説明だ。

ビール各社の今後を左右するのは、新ジャンル増税の影響がどのような形で出るか、ということだろう。

ビール各社は「4社4様」

ビール類の販売数量でビール構成比の高いアサヒビールは、新ジャンルからビールへと一部消費者がシフトすることを見込む。酒税改正後の10~12月で『スーパードライ』ブランドの家庭用商品が2019年比で1割増になると予測している。

新ジャンルの販売が鈍るとしても、高単価であるビールの売れ行きが復活するチャンスだと捉え、10月30日からビールの鮮度を訴求した商品を店頭で発売するなどし、需要増を図る。

サッポロビールも10月より、若者に人気のアパレルブランド「ビームス」で『黒ラベル』商品とコラボしたグッズを販売し、同商品の認知度を高める狙いだ。

一方、サントリーホールディングスは新ジャンルから缶チューハイにも消費者が流れ込むとみる。チューハイで業界最大手である同社は、酒税法改正をにらんで『-196℃ストロングゼロ』などの定番商品で、味わいを増したリニューアル商品を8月下旬から投入してきた。

キリンビールは缶チューハイや缶カクテル、ハイボール缶などのRTD(レディー・トゥー・ドリンク)市場規模が2026年までに1.4倍になると試算。チューハイ人気の一層の高まりを見越し、75億円を投じて『氷結』や『キリン・ザ・ストロング』などの製造設備を仙台工場に新設することにした。

次ページチューハイの酒税は変わらない
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事