不登校で引きこもりになる人が2割以下の背景

実際は一度は仕事に就いた経験がある人も多い

年齢から考察しても、数字は大きくは変わりません。19歳以下で引きこもりが始まったという人は、15~39歳で42.8%。40~64歳ではわずか2.1%。全年齢では、10代から引きこもっている人は、およそ21.2%になります。不登校がきっかけだと思われる、実際に10代から引きこもっている人は、全体のたった2割程度なのです。

これは、私たちが現場で受けている相談での印象とも一致します。統計を出したことはありませんが、不登校からそのまま引きこもったという人は、いるにはいますが、過半数にはほど遠い。

同時に、バイトであれ何であれ、働いたことが一度もないという人も、少数派です。引きこもりの相談でいちばん多いのは、「学生時代は何とかやってこられた。就職やバイトの経験も少しはあるが、うまくいかずやめてしまい、結局引きこもった」という人たちなのです。

キーワードは「多様性」

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9月に刊行した著書『コンビニは通える引きこもりたち』では、私が所属する引きこもり支援団体の25年以上の活動の蓄積と、年間約150組のご家族の対面相談を受けている私自身の経験に基づき、引きこもりとそれを取り巻く状況について説明しています。

全体を通じて、引きこもり自身が何をしたらいいかではなく、親も含め周囲が何をするべきかという視点で書きました。周囲の状況が変われば、引きこもり本人にも何らかの変化が生じるので、まずは周囲が対応を変えるべきという思いからです。

キーワードは「多様性」です。これは最近言われ始めている、引きこもりの方の多様性に留まりません。引きこもりという問題に直面していると、紋切り型のイメージでは理解の覚束ないことが多く、必然的に多様性ということを考えざるを得なくなるのです。その多様な実情を知ってもらうことが、引きこもりという社会問題の解決に向けた第一歩になると考えています。

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