不登校で引きこもりになる人が2割以下の背景

実際は一度は仕事に就いた経験がある人も多い

引きこもりになるきっかけは、さまざまな理由があるようです(写真:Ushico / PIXTA)
「9割近くは外出している」「10年以上働いた後になることも」──。顕在化してからおよそ25年、かつては「青少年の一時的な現象」とされた引きこもりの内実は激変しています。久世芽亜里著『コンビニは通える引きこもりたち』を一部抜粋、再構成し、引きこもりの人たちが抱える、それぞれの背景事情を分析します。

アキラ君(仮名)は現在22歳。小さい頃から人間関係が苦手で、友人があまりいないタイプでした。大学に入って間もなく不登校になり、そのまま中退。その後何もしないまま、約3年が過ぎています。両親は働いているので、日中は家で1人。昼頃に起きて、家にあるものを食べながら、リビングでテレビなどを見ています。

両親が帰宅する夕方頃からは、自室でパソコンに向かい、ゲームをしたり動画を見たりして過ごします。廊下で親と顔を合わせて話しかけられると、普通に返事もします。家族が寝静まってから用意してある夕飯を食べて、そのまま夜中までパソコンです。

バイトしてみたらと親には言われるのですが、一度も働いた経験がなく、応募する勇気も出ません。週に何度かは近所のコンビニに行き、もらっている小遣いでお菓子や飲み物を買います。たまに電車に乗って、少し遠くまで服などを買いに行くこともあります。年に2、3回は、好きなアイドルのコンサートに出かけます。

家にずっといるわけではない

これは、よくいる引きこもりの生活です。引きこもりと言うと、じっと家の中にいる、家から出ないというイメージではありませんか? 内閣府が2016年に発表した15~39歳を対象とした引きこもり調査では、「趣味の用事のときだけ外出する」が67.3%、「近所のコンビニなどには出かける」が22.4%と、実はほとんどの人が外出はしているのです。それに対して、「自室からは出るが、家からは出ない」はたったの10.2%、「自室からほとんど出ない」はなんと0.0%でした。

同じく2019年に発表された40~64歳という高年齢引きこもりを対象とした調査では、年齢が上がった分、内容は深刻にはなりますが、それでも「趣味の用事のときだけ外出する」が40.4%、「近所のコンビニなどには出かける」が44.7%で、外出する人は8割を超えています。さらに「自室からは出るが、家からは出ない」は10.6%ですが、「自室からほとんど出ない」が4.3%と、重度の引きこもりはこの年齢の方が多いことがわかります。

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