最高クラスの年金がもらえる月給は幾ら以上か 9月から高給取りの人は年金負担額がジワリ増

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このように高給取りの人の保険料は上がることになりますが、厚生年金被保険者として厚生年金保険料を掛けると、その分将来受け取る年金の計算に含まれ、老齢厚生年金の報酬比例部分が増えることになります(ほかに国民年金制度の老齢基礎年金、老齢厚生年金の経過的加算額も増えます)。

報酬比例部分はこれまでの標準報酬月額や標準賞与額を基に計算します。高い報酬を受けていれば、つまり標準報酬月額や標準賞与額が高ければ、保険料も高くなりますが、報酬・保険料が高く、被保険者として厚生年金加入期間も長ければ、その分受け取る年金も高く計算されることになります。その名のとおり報酬に比例する年金となります。

老齢厚生年金の報酬比例部分は以下の図表②のとおり計算します。

2003年3月以前は賞与から保険料が引かれなかったため、給与の平均(平均標準報酬月額)で年金額を計算し、2003年4月以降は給与だけでなく、賞与からも保険料が引かれるため、給与と賞与を含めた報酬の平均(平均標準報酬額)で年金額を計算します。

等級・保険料が変わると年金額に差が出る

標準報酬月額に新しく32等級が設定されたことで、標準報酬月額が62万円から65万円になると、標準報酬月額は3万円増えることになります。結果、図表②の計算式の平均標準報酬額も増えるため、報酬比例部分の年金も増えることになります。例えば、10年間(120月)、62万円で加入し続けた場合と65万円で加入し続けた場合を比較すると、報酬比例部分の受給額はどうなるでしょうか。

62万円の場合、今年度の従前額保障の計算式(図表②のB)で計算すると、62万円×0.899(※)×5.769/1000×120月で、年額38万5863円増える計算です(※再評価するための再評価率。便宜的に2020年度の加入期間の率を用います)。

一方、65万円の場合、同じように計算すると、65万円×0.899×5.769/1000×120月で、年額40万4534円増える計算になります。標準報酬月額が62万円から65万円へ3万円増えて10年間加入した結果、年間1万8671円の受給額が多くなることになります。

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