日本の成長率落ち込みを過小評価できない理由 外需により大きく振れる構造は変わっていない

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そして、新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う緊急事態宣言の発出がなければ、消費税率引き上げの影響が一巡した後の2020年1~3月期や4~6月期におけるGDPは反動増となっていた可能性が高い。新型コロナウイルスの影響が織り込まれる前に行われたエコノミストへのアンケート調査である2020年1月のESPフォーキャスト調査(日本経済研究センター)では、消費税率引き上げ後のマイナス成長の反動によるプラス成長が織り込まれていた。

したがって、4~6月期の前期比年率マイナス28.1%というマイナス幅は「消費税率引き上げの影響が一巡した後の反動増」(プラス要因)と「新型コロナウイルスの影響」(マイナス要因)が重なった結果と考えられる。ここで、後者の大きさを求めるために「新型コロナウイルスの影響」がなかった場合は、コンセンサス予想通りに実質GDPが増加していたと仮定し、今回実現した実質GDPとの差を求めて算出すると、年率ベースでマイナス33.6%となる。

当然、経済に「タラレバ」はなく、あくまでも試算値にすぎないが、消費税率引き上げの影響がなければ4~6月期の成長率の前期比はアメリカを上回るマイナス幅となっていた可能性が高い。

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