日本の成長率落ち込みを過小評価できない理由 外需により大きく振れる構造は変わっていない

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では、なぜ4~6月期の日本の実質GDP成長率は欧米並みに弱かったのか。

内需が原因でなければ外需に原因があるはずだ。4~6月期の実質GDPに対する日米欧の外需の寄与度を比較すると、日本の外需が圧倒的に悪いことがわかる。

リーマンショック時と変わらない構造

言うまでもなく、日本の外需が悪化したのは新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の悪化が主因である。つまり、結局は海外依存度がある程度高い日本は世界経済の動向によって大きく振れやすいのである。国内で感染拡大を抑制したとしても、他国の不調を輸入してしまう。

なお、このような傾向は今回のコロナ禍だけではなく、リーマンショック後も同様だった。金融危機の震源地はアメリカだったのにもかかわらず、外需の影響によって日本の成長率が最もマイナス幅が大きくなった。

以上により、①4~6月期の日本の実質GDP成長率は欧米と比べて強いとは言えず、②その理由は輸出を通じた海外経済の不振である可能性が高い。今後も海外経済の低迷が続く間は日本経済も低迷した状態が続くだろう。「欧米よりは良かった」と言っている余裕はない。

末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト

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すえひろ とおる / Toru Suehiro

2009年にみずほ証券に入社し、債券ストラテジストや債券ディーラー、エコノミスト業務に従事。2020年12月に大和証券に移籍、エクイティ調査部所属。マクロ経済指標の計量分析や市場分析、将来予測に関する定量分析に強み。債券と株式の両方で分析経験。民間エコノミスト約40名が参画する経済予測「ESPフォーキャスト調査」で2019年度、2021年度の優秀フォーキャスターに選出。

2007年立教大学理学部卒業。2009年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学修士)。2014年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。2023年法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程修了(経済学博士)。

 

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