東海林さだお「ビールのつまみは枝豆に物申す」 勇猛をふるって全国民的合意に異を唱えたい
「丸かじり」シリーズなど、笑いと共感の食のエッセイの第一人者で、大のビール党である東海林さだお氏が、「ひとりで酒を飲むこと」についてひたすら考えた。今回は、東海林氏がどうしても枝豆をめぐる国民的合意について言いたいことを、『ひとり酒の時間 イイネ!』から抜粋して転載する。
「ビールには枝豆は合わない」
「ビールには枝豆」
これは国民的合意であり、日本人であるかぎりナンピトもこの組み合わせに異をとなえることはできない。
ビールと枝豆は、ほとんどセットとして考えられている。サンマに大根おろし、とろろ芋に麦めし、納豆に辛子、さつま芋におならなどと同様の、不動の組み合わせとして全国民的に受け入れられている。
サラリーマンが4、5人で居酒屋に入れば、
「とりあえずビール」
であり、
「とりあえず枝豆」
で宴はスタートする。
だがわたくしは今回、勇猛をふるってこの全国民的合意に異をとなえたい。「ビールに枝豆は合わない」
ああ、わたくしには全国民の非難の声が聞こえてくる。
「非国民!」
「国賊!」
「不逞(ふてい)の輩(やから)!」
「それを言っちゃあおしまいよ」
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