サンリオ、「2分4000円」のライブ配信に賭ける訳 オンラインごしの触れ合いに申し込みが殺到

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さらに、優先入場やパレードの場所確保ができる「ピューロパス」を導入することで2017年3月期には年間パスポート売り上げが前期比20.8%増加。そうした結果、2018年3月期からテーマパーク事業は黒字に転換。徐々に経営環境も好転し、債務超過解消の道筋も見え始めた矢先に襲ったのが新型コロナだった。

2020年3月期のサンリオエンターテイメント社の純利益は5800万円の赤字に転落。同社は依然として16億円の債務超過に陥ったままだ。

来場しなくても楽しめる施設に

債務超過などを解消していくためには、今までにない手段で売り上げを上げていく必要性がある。同社では「新しい生活様式に即したコンテンツを提供し、運営形態も工夫を重ねてコロナ禍前の営業状態を取り戻していく」ことに加え、「デジタル企画、オリジナル商品の通販を実施し、パーク外収益をあげていく」(同社広報)ことで債務超過の解消を目指していく。

小巻社長は「今まではピューロランドに来ていただくことが最優先だったが、今はそうではない。いつでも、どこでも、来なくても楽しめるピューロランドに、ユビキタスにならなければいけない」と語る。

エンターテインメント業界は今まで、実際に来場して楽しんでもらうことを優先してきた。コロナ後の新しいビジネスのあり方が模索されている。オンライングリーティングは1つの挑戦であり、ピューロランドの取り組みはその試金石だとも言えそうだ。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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