日本がこの先に陥ってはならない「日米中の罠」

新冷戦に近い状態の中で求められる外交力

これまで以上にさまざまな顔をして立ち現れてくるだろう(写真:manoimage/PIXTA)
米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

日本列島の戦略的レバレッジ

菅新政権の最大の外交課題は、対米関係と対中関係を良好な関係に安定させることである。この点は、まさに安倍外交の最大の成果だったともいえる。しかし、新型コロナウイルス危機で米中関係は一段と険しくなっており、その中での日本の外交のかじ取りはさらに難しくなっている。

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米中関係は、地経学的にはすでに新冷戦に近い状態にある。5Gや半導体のグローバル・サプライチェーンをめぐるデカップリング、中国の「軍民融合」による技術の地政学化、そしてデジタル人民元による通貨覇権への蛙飛び(リープフロッグ)戦略など、日米ともにその経済技術の土台を根底から脅かされない地経学的挑戦にさらされている。

そこへコロナ危機が襲ってきた。トランプ政権の「アメリカ・ファースト」通商戦略の司令塔であるピーター・ナヴァロは「今回のコロナウイルスや2009年のH1N1からの教訓ということで言えば、それはマスクからワクチンまでこと供給に関しては他国に頼るわけにはいかないということだ。相手が同盟国といえどもそれは同じだ」と述べている。日本も今回、欧米諸国と同じように医療資機材を中国に依存する脆弱性を思い知らされた。同時に、国も医療資材を買いあさり、囲い込みに忙しかった。同盟もそれほど頼りにならない。

米中と関係の深い国々はどこもきわめて難しい立場に立たされている。どの国も双方との関係を維持するための綱渡りを強いられる。

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