トヨタが今、「旧車用パーツ」に力を入れる理由 3Dプリンターも活用されるGRヘリテージパーツ
7月31日~8月2日に幕張メッセにて開催された「オートモビルカウンシル」でのトヨタ博物館のプレスカンファレンスで、トヨタ自動車の“GAZOO Racing Company”は往年の名車、トヨタ「2000GT」用の補修パーツを「GRヘリテージパーツ」として発売することを明らかにした。1月の東京オートサロンで発表された「A70/A80スープラ」用に続く第3弾ということになる。
まずは、GRヘリテージパーツについて説明しておこう。たいていの場合、クルマの補修部品は車両の生産・販売が終了して、一定期間が過ぎると廃版になる。販売終了となれば、その後はその車両自体の数が減少し、部品の需要も減るのだから当然だろう。
しかしながら、名車やヘリテージカーと呼ばれるような車種の場合、1台のクルマが長く愛用される。あるいは、複数オーナーのもとを経由しつつ長く乗り続けられる例が少なくはない。むしろ、そういうクルマが後年になって名車・ヘリテージカーと呼ばれるようになる、とも言える。
自動車メーカーも、そうしたモデルのために走行に必要な部品を中心に在庫し、ロットがまとまれば再生産を行う場合はある。しかし、それで全部が揃うわけではなく、特に数十年も昔のクルマの場合、再生産しようにも部品の型が失われていたり、同じ材料が使えなくなっていたりといったことも多く、コスト面から廃版になる例も多い。
個人レベルでは難しい部品の再生産
ヘリテージカーのオーナーは、あらかじめ自分でパーツをストックしておいたり、オーナーズクラブなどを通じて全国から情報を集めて部品を確保したり、有志を募って再生産を行ったりして、大事なクルマを維持している。しかし、個人レベルではそれにも限度がある。
コストがかかるだけならまだいいが、エンジンや駆動系、サスペンション、あるいはボディパーツやエンブレムといった復刻・再生産がしづらいパーツの場合は、見つからなければ、もう手がないのだ。GRヘリテージパーツは、こうした悩みにメーカー自身で応えるべく展開される事業である。
最初に発表されたのは、冒頭に記した通りトヨタを代表するスポーツカーであるスープラ用のパーツだ。A70は1986年デビュー、A80はその後継として1993年に登場したモデルで、ともに今でも高い人気を誇る。
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