「STI」トップが語るスバルとは全く違う役回り 平川良夫社長への独占インタビュー・前編

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STI モータースポーツデーのメインステージ。大勢のSUBARUファンが詰めかけた(筆者撮影)
2019年3月10日、静岡県の富士スピードウェイにSUBARUファン約5000人が集結した。SUBARUのスポーツブランド、STI生誕30年を祝う「STI MOTORSPORT DAY(STI モータースポーツデー)」が開催されたのだ。
STIとは、スバル・テクニカ・インターナショナルの略称。1988年4月、「SUBARUを世界一に」を使命として設立され、1990年代には3年連続で世界ラリー選手権(WRC)チャンピオンを獲得。2008年にWRC参戦休止後は、2ドアスポーツカーのBRZをベースに国内スーパーGT300、さらにツーリングカーレースとしては世界で最も過酷なドイツ・ニュルブルクリンク24時間レースにSTIとして参戦している。
量産車では、WRXを中心にWRCで培った技術を盛り込んだハイパフォーマンスカーを展開。近年ではスポーティイメージのSTIスポーツを、量産車のグレードとして設定して人気を博している。
また、究極のSTIとしてSシリーズを日本国内向けのみとして展開。最新作のS209を2019年1月の北米国際自動車ショー(通称:デトロイトショー)で世界初披露した。ところが、まさかの北米専用モデルとの発表に「日本でのSTIは今後、どうなってしまうのか?」という不安の声も一部にある。
そこで今回は、STI モータースポーツデーの現場を取材し、STI代表取締役社長の平川良夫氏に単独インタビューを行い、STIの現状と今後の事業戦略について詳しく聞いた。また、STIに対する理解を深めるため、SUBARU本社から最新のSTI量産車を借りて、東京から富士スピードウェイまでを往復した。往路はS4 STIスポーツ、そして帰路は2018年7月の発売直後に限定発売数500台が完売した、WRX STI RA-Rに乗った。

SUBARUのいちばん先端を担う

――STI30周年のお祝いに、こうして大勢のファンが集まりました。

いままさに、STIの新しいスタートの年。これまで日本市場のみだったSTIを、北米でSシリーズを展開するなど、新たなる(ビジネス)領域に踏み込む。(さまざまな面で)スタートの年です。

――あらためて、STIとは何でしょうか? ホームページには「私たちが追求するのは人の感覚と調和する『世界一、気持ちいい』クルマづくり。」とうたっています。

ひとことで言えば、SUBARU (本体)ではできないスピードあるチャレンジのチーム。SUBARUグループは(ほかの自動車メーカーと比較すると事業規模が)あまり大きくないので、新規マーケットの開拓、また顧客とのコミュニケーションを増やすためには、特定の分野にフォーカスする必要がある。そうした面で、SUBARUとしていちばんの先端を担っているチームです。

STI社長の平川良夫氏。富士スピードウェイのピットエリアにて(筆者撮影)

――そうした中で、STIの歴史を振り返ると、2008年のWRC撤退以降、ラリーからレースへの転向などもあり、ブランドとして変化していった印象があります。

もともと、WRCに参戦した正直な理由は、SUBARUを買ったお客様に誇りを持ってもらいたかったからです。当時は、(SUBARUのイメージロゴである)六連星を量産車に使わなくなっていました。そして、WRC撤退から約10年間が経ち、STIとお客様との(気持ちがつながる意味での)高速道路の役目が衰えてきた。それを整備し直そうとしています。

そのため、今回のような、お客様がご自身のSTIに対する想いを直接、われわれ技術者に直接ぶつけていただき、双方向で会話ができる場を設けたのです。今回は、単なるイベントという位置付けではありません。

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