老いなき世界「人生のゴール」は無意味になる 「成長」から「持続」へと変化する人生の価値観

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もちろん、すごく優秀な才能があれば、その道のエキスパートとして生きていくこともできますが、それができるのはやはりごく一部の人だけです。昭和の時代は、平凡な人やあまり能力のない人でも、一応はどこかの会社に正社員で入って、定年まで静かに勤め上げることができました。

しかし、いまは正社員は減り、非正規雇用が増えて、そういった生き方は難しい。だからと言って、自己啓発本なんかを読んで、「自分もブログで一発稼いでホリエモンになるんだ」という夢を抱いてセミナーなどに通っても、それで成功する人は一握りです。

そういったことに惑わされるよりは、平凡でも、いろいろな仕事をして、普通に暮らすという方向がいいでしょう。

やれる仕事というのは、その時代その時代で変化し、新しい仕事も出てきます。

それは肉体労働だけでなく、頭脳労働にも当てはまりますし、知識や経験、学習をしながら、情報をキャッチアップし、いろいろなところにパラレルを走らせておけば、大成功はしなくても決定的な大失敗もなく、まあまあ暮らしていくことができるのではないでしょうか。

変化を怖がる人と面白がる人の違い

このような人生を乗り越えていくには、つらいと思うか、楽しいと思うかのマインドセットの違いも大きいでしょう。ただ、現代の日本人は、新しいものがくると、まず怖がってしまう習性があり、なかなかマインドセットを変えられないという面があります。

とくに、テクノロジーに対しては保守的ですね。僕が企業講演などでAIの話をすると、100%の確率で「すごく怖いんです」という感想が出ます。

しかし、僕はこう考えます。昭和20年の夏、戦後復興とイノベーションへの野望に燃えていた日本人は、AIの話を聞いて、いまの日本人のような反応をしたでしょうか? 明治維新の時代の人にAIを教えたら、「怖い」と言ったでしょうか? 僕はそうは思いません。間違いなく「これを使って欧米を倒してやる」と考えたと思いますよ。

「老いがなくなる世界」を、「怖い」と感じる人もいるかもしれません。しかし、怖いから今までと同じようにしていたい、でも長寿時代は楽しく暮らしたいというのでは、ないものねだりになってしまいます。

なぜそれを怖いと思うのかということを、自分自身に問い直したほうがよいかもしれませんね。

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